財団法人 民間放送教育協会

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第119回 命の生まれる場所を守りたい~ある産婦人科医の選択~

2006年11月18日(土) RKB毎日放送制作

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「命の強さ・儚さに触れた瞬間、ここが自分の職場だと思った」と研修医時代を振り返る九州労災病院(北九州市)の齋藤竜太産婦人科部長(41)は、産婦人科に誇りとやりがいを持っているお医者様です。しかし今年3月に同僚が辞めてからは、一日中診察をした後、夜勤に入り、一睡もしないまま翌日手術という過酷勤務が続き、「これでは安全なお産を保障できない」と苦渋の決断で8月で産科を休止しました。今、日本中で少子化を上回るペースで産婦人科いが減り続け、残った産婦人科医に全ての負担が掛かり、忙しすぎてまた辞めていくという悪循環が始まっています。このままでは産む場所がない「お産難民」が生まれてしまいます、いや、もう既に生まれています。続けたくても医者を補充できず続けられなかった齋藤先生。その苦悩と努力、再開への模索。。。それでも現場にこだわり頑張る齋藤先生に密着しました。


キ ★ ラ ★ リひとこと
手作りグッズで「命の授業」や「性教育」を学校でしている産婦人科の医者がいると聞いたのが齋藤先生との出会いでした。「命の生まれる瞬間に立ち会っている産婦人科医だから伝えられる命の重さがある」と、
当時から忙しかった先生が、時間を割いて頑張っていました。
その齋藤先生から「北九州市のお産事情が大変になって、今は授業どころではない」と連絡をいただき、いろいろ調べてみました。
そして判った現状は・・・日本のお産がこんな危機的状況に直面しているとは!近い将来、お産でお世話になるであろう私にとっては、本当にショックでした。
「どこで産んだらいいの?」という患者の立場から、この問題に取り組むことを考えました。
けれども、調べれば調べるほど、状況がすぐに好転する施策などなく、出産しようとを思っている自分でさえ、産みたくなくなってしまいます。
現状を出すことで、少子化に拍車をかけてしまうのは本意ではありません。
ところが、こんな厳しい状況下なのに、齋藤先生はギブアップすることなく、常に明るく、やれる限りのことをやろうとします。「こんな先生がいると思うと、希望が見えるかも・・・」。先生を描きながら、先生を通じて見える現実を描こうと決めました。そして、現場で頑張る多くの素敵な方々に出会えました。しかし、個人の頑張りだけでは、問題は解決できません。
この番組を作り上げた後に、奈良県で出産中に脳内出血となった妊婦さんが18の病院から受け入れを拒否されたというニュースが日本中を駆け巡りました。
産婦人科医不足によるひずみが悲しい出来事として起こってしまいました。
いろんな要因はあるにしろ、産婦人科不足が解消されない限り、患者の望む医療体制は整いませんし、現場で働く人々の望む医療も提供できません。
齋藤先生をはじめとする「希望の光」を消してしまわない為にも、国として早急にどんな対策をとっていけるのか。
今後も取材を続けていきたいと思います。


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