



沖縄県那覇市首里に住む、又吉健次郎さん(78)は、金細工(くがにぜーく)と呼ばれる、琉球王朝時代から続く金工職人の七代目。廃藩置県や二度の大戦で殆どの職人が廃業し、現在残っているのは、又吉さんの工房だけになってしまいました。使っている道具は全て、先代から受け継いだ物ばかり。「伝統の形を守るには、昔と同じ道具で、同じ工程を辿り、同じ心で仕事をしなければならない」と又吉さんは言います。集中力を要する仕事ですが、どんな時でも又吉さんは、訪れる人に丁寧に説明するようにしています。「長年続いてきた伝統が、自分の代で終わるかもしれない」という状況の中、出会った様々な人たちとの交流が大きな支えになっているのです。美しい琉歌(沖縄独特のリズムの短歌)やユーモアを交えながら人と語り、制作を続ける又吉さんの使命とは?一つの作品が出来上がるまでの工程を追いかけながら、その情熱に迫ります。

今回の主人公・又吉健次郎さんと出会って5年。
その作品の素晴らしさ、沖縄の文化の奥深さに魅せられるうち、いつのまにか東京から沖縄へ移り住んでいました。
伝統を守ろうと奮闘する健次郎さんの姿を通じて、琉球金細工の技とその背景にある、詩情豊かな「うちなーの心」を伝えたいと思い、番組を制作しました。
存亡の危機にある小さな文化遺産をどう守れば良いのか、少しでも関心を持ってもらえたら嬉しいです。
◇ディレクター:井上真喜◇