



日本の農家で、種を自分の畑で採取している農家はほとんどありません。雲仙市の農家岩崎政利さんは、20年以上も自分の畑で種を取り続けています。農業高校卒業後、父親から農業を継いだ当時は、ごく普通の農家で農薬も使っていました。ところが、30代のとき突然体がしびれ2年間寝たり起きたりの状態になりました。そのとき考えたのは、これは農薬による害ではないかということでした。リハビリのため、雑木林を歩き回る中で、様々な種類の木々や生き物が共存し雑草が自らの種を落として子孫を残す姿に感銘を受けます。「この雑木林を畑に再現したい。」そこから岩崎さんの農業は再スタートを切りました。畑には80種類ほどの野菜が植えられています。種を採るには、その親となる野菜を一つ一つ見るということ。するとその全部に個性があることがわかります。1年にわたり、畑と岩崎さんの種採りの様子を描きます。

番組を作るときに悩むことの一つが、ナレーションをだれに頼むかということ。そんな時、女優の工藤夕貴さんが有機農業に取り組んでらっしゃることを思い出しました。工藤さんに読んでもらえたら、なんて素敵だろう!ダメもとで事務所に企画書を送ると、「お受けします」とのお返事が!工藤さんにとって今回の主人公の岩崎政利さんは、「今とても会いたい人」だったのです。野菜の種を採る姿を追った作品は地味ですが、工藤さんのナレーションが入り、華やかさが加わりました。
◇ディレクター:斉藤礼子◇