



ことし7月。一人の男性が秋田市に動物病院を開いた。坂本尚志さん56歳。坂本さんは、おととしまで、犬や猫を安楽死処分する秋田県動物管理センターに勤めていた。この間、「命を守る活動をしたい」と強く決意。定年を5年残して県庁を退職し、獣医としての活動を始めた。坂本さんは義足をつけている。高校を卒業し、憧れだった獣医の大学への入学直前、車にはねられ右足の膝から下を失った。失望感で3回もビルの屋上に上がったが、飛び降りる直前で踏みとどまったのだという。こうした辛い体験を、坂本さんは小中学校や高校で行う「命の大切さを育む教室」で、児童生徒に伝えている。さらに、自分のすべてをさらけ出そうと義足をはずして見せ、「辛いことや嫌なことがあっても自分を責めずに優しくいたわって欲しい。大丈夫。あなたには命があるんだよ。」と、優しく語りかける。動物病院を舞台にした命との触れ合いを交え、坂本さんの強さと優しさを描く。

坂本さんは、病気や怪我のワンちゃんやネコちゃん、そして飼い主さんをいつも穏やかに迎え入れています。病院の開院から2ヶ月経って獣医師として余裕も見られるようになり、日曜午後の休診時には「しつけ方教室」も始めました。
取材を通じて特に思うのは、坂本さんは心から動物を好きなんだということです。
その思いは動物たちにも通じているようで、ワンちゃんたちがしっぽを振りながら
坂本さんに近づきじゃれあう姿をよく目にしました。
そして飼い主さんたちは、「さかもと動物病院」を訪れるたび、包み込まれるような優しい時間が流れていくのを感じているようでした。
自分自身の辛い経験から命の尊さを知っている坂本さんは、心も癒してくれる獣医師さんです。
◇ディレクター:小野地英智◇