財団法人 民間放送教育協会

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#21 世界へ羽ばたく 妖精の羽 ~川俣シルク~

2015年9月13日(日)(テレビ朝日放送) 福島テレビ制作 協力 文部科学省/独立行政法人 中小企業基盤整備機構

chikara21-2.jpg福島県の川俣町はかつて薄手のシルクの産地として栄えていました。その歴史は古く、約1400年前にシルクが伝承されたと言われ、明治時代になると海外への輸出が盛んになりました。欧米の繊維業界ではKAWAMATAと言えば軽目羽二重をさすほど、川俣シルクは世界にその名をとどろかせました。

 しかし、時代が変わると安価な外国製品や化学繊維が登場し、時代の流れに押し流されるようにシルクの生産は激減。現在は最盛期の10分の1にまで落ち込みました。

川俣町で約60年、絹織物を生産してきた齋栄織物。社員数が20人ほどの小さな機織工場です。職人のほとんどは地元川俣の女性で40年以上のキャリアを持つ職人もいます。

chikara21-1.jpg齋栄織物の3代目齋藤栄太さん(34)は需要が低迷する中、生き残りをかけ、新しい絹織物の開発に着手しました。髪の毛のわずか6分の1という細さの糸で絹織物を作ろうというのです。
しかし、ある問題が持ち上がりました。機械で織るため、極細の生糸が切れてしまうのです。そこで頼りになったのは職人たちの技。糸にかかる力の加減を調整するため、2万本の糸1本1本に手作業でおもりをつけるなどの試行錯誤を重ねました。

約4年の歳月を経て完成したのが機械織りで世界一薄い絹織物。フェアリー・フェザー(妖精の羽)でした。

chikara21-4.jpg齋藤さんはかつてから取引があったブライダルファッションデザイナーの桂由美さんに世界一薄い絹織物を持ち込みます。それを見た桂さんは早速ウエディングドレスの生地に採用し、ショーで披露しました。「結婚式はダンスができるような軽く美しいドレスで快適に過ごしてもらいたい。」そんな桂さんの思いをも実現した絹織物だったのです。

フェアリー・フェザー(妖精の羽)はたちまち注目の的になり、海外の一流のファッションブランドにも認められました。今では世界のビッグブランドと齋栄織物が直接取引をしています。

フェアリー・フェザー(妖精の羽)は2012年に「ものづくり日本大賞」内閣総理大臣賞を受賞。高い技術はもちろん量産化に成功した功績も受賞の理由でした。 その評判は思わぬ効果をもたらしました。定番の川俣シルクがミュージカルの舞台衣装に採用されるなど、原点の川俣シルクの品質も再評価されはじめたのです。

chikara21-3.jpgそれでも齋藤さんは歩みを止めたわけではありません。フェアリー・フェザー(妖精の羽)の進化版を開発した。それはシルクを縮ませ独特の紋様を浮き出たせた絹織物でした。海外のファッションブランドとの商談会ではフェアリー・フェザー(妖精の羽)を評価するバイヤーがいる一方で世界一薄くて軽いだけでは即決できないというバイヤーも・・・。齋藤さんは新たな挑戦を決意しました。

斎藤さんの挑戦、それは新しいシルクの開発です。しわになりやすい、ストレッチ性がない、家庭で洗えない。この3つを克服した高機能シルクの開発に邁進しています。

齋藤さんの目標は「シルクイノベーション」
自分たちの製品で人々の生活を変える、繊維業界の構図さえも変えてしまいたい。 
 
他にはまねができないものを作りだした齋藤さん。シルクで世界を変える日はもうすぐそこまで来ているのかもしれません。

取材後記

ディレクター:齋藤 善徳(福島テレビ)

日本においてシルク産業は斜陽産業と言われています。しかし、世界的に見ればヨーロッパや中国など大きな市場があります。それをチャンスと捉えているのが齋栄織物の齋藤栄太さんです。ヨーロッパ向けの製品は商社を通さず、名だたるブランドと直接取引をしています。世界一のシルクを開発した背景には、日本市場のみならず世界の市場で戦うための製品を生み出そうとする斎藤さんたちの意欲がありました。しかも薄手という川俣シルクの伝統と技術を守りながらも、革新的な製品を新たな技術と共に生み出したのは特筆すべきところです。「他にまねできない物を作れば会社のトップ製品になり、再び川俣シルクも注目される」齋藤さんの目論見は的中し、妖精の羽は世界的に知られるシルクになり、伝統的な川俣シルクもその品質の高さから再評価されることになりました。事実、川俣シルクの生産量は少しずつ上っていて、産地全体の底上げにつながっているそうです。

世界に通用する製品を支えるのは技術力であることは確かだと思います。日本の技術力は日本のチカラです。そう思って取材に入りました。事実、職人さんたちの糸の扱いは神業でした。職人さんたちは生糸の声に耳を傾けるような感覚で糸の状態を把握し、瞬く間に直してしまいます。しかし、それだけではありませんでした。取材を進めていくうちにもうひとつ大切なことがあると感じたのです。それは齋藤さんや職人さんたちの心のチカラです。世界一の薄い絹織物ができるまで決してあきらめなかった。そして、現状に満足するのではなく妖精の羽を進化させ、更に世界初になるであろう新しいシルク製品の開発にも着手しています。齋藤さんは「単純にシルクがすき」だと言います。職人さんは「働いていてよかった」と笑顔を見せます。社長さんはそんな斎藤さんや職人さんたちの挑戦をサポートし、時にはリードもする姿勢も見せています。日本人のモノづくりの底力はそんな人々の心が支えているような気がします。その心の力が製品に命を吹き込み、さらに、ストーリーのある製品に育て上げていくのではないでしょうか。世界一だったのはシルクだけではなく、齋藤さんをはじめとする齋栄織物のみなさんの心のチカラだったと感じています。

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番組でご紹介した情報

◆齋栄織物株式会社
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