「生笑一座」の名前は、"生きてさえいれば、いつか笑える日がくる"ということに由来する。
メンバーは、みんなもとホームレス。家族と生き別れになった人や段ボール小屋に放火されて、危うく難を逃れた人も。そんな彼らが一座を組んだ。
メンバーの一人、西原宣幸さん(69)は、ホームレス暦11年。北九州市に生まれ、地元の企業で働き、結婚して子供にも恵まれるが、離婚して一人になり生活が乱れ野宿生活へ。
アルミ缶を売りながら生活していたが、とうとう、食べるものもなくなり、ホームレス支援を受け、自立。一座の座員となった。
下別府為治さん(73)。生活が荒れた日々の中、自ら死のうとしたが、死にきれず野宿生活へ。今、笑える日がきた自分を振り返り、「助けてと言えた日が助かった日」と子供たちに語り続けている。
一座の座長は、北九州市のNPO法人「抱樸」の理事長で、牧師の奥田知志さん(54)。長年、ホームレスの支援活動をしてきた。住む家や家族を失った経験があるからこそ、見えてきた、そんな自分を今大切に思ってくれる人たちがいる。生きる意味のない命なんて一つもない・・・自らの経験をもとに、命の大切さ、上手な助けての言い方を伝えたいと立ち上った一座。これまでの公演は80回を変超えた。お呼びがかかれば、日本全国どこへでも。
「生笑一座」の活動を追った。