#188 目指せ!一発逆転 ~町工場、3000日の奮闘記~

2019年9月14日(土)(テレビ朝日 放送) 秋田放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ


 秋田県内陸の山あいにある横手市。大手メーカーの下請けでパソコンの部品などをつくっていた小さな工場がありました。福島にある電子機器製造会社の生産拠点です。従業員の多くは農家の奥さん。地方にはどこにでもあるような町工場です。しかし2009年、リーマンショックのあおりを受けて工場は突然閉鎖に追い込まれます。働いていた従業員は全員解雇。この時、一大決心をしたのが当時、工場長を務めていた男性です。男性は、工場を運営していた福島の会社の幹部社員でしたが、行き場を失った従業員の雇用を守るため、53歳で会社を退職し、工場閉鎖の翌日に新しい会社を立ち上げたのです。そして解雇された従業員を全員雇いました。会社名はアスター。


 会社を立ち上げたものの、仕事はほとんどなく、アスターは苦しい経営が続きます。追い打ちをかけたのが東日本大震災でした。取り引き先の操業停止が相次いで、もともと少なかった仕事がほとんどなくなり、何度も倒産の危機に瀕します。従業員に給料を払うため、会社の独自製品を作りますが思うように売れずに挫折。そのたびに元工場長である社長と従業員が手を取り合って独自製品を次々に開発しては売り込み、アスターは創業4年目に初めて黒字を計上しました。


 独自製品を売って会社の運転資金を稼ぎながら、アスターは世界でまだ誰も成功していなかった画期的なコイルの成型に成功します。今年6月には、その新型コイルをつくるための巨大な工場が完成しました。現在、世界的な家電メーカーと共同で新型コイルを組み込んだモーターの開発を進めていて、来年夏には量産に入る計画です。苦しい経営の中でも挑戦を続けた地方の町工場の3000日の物語です。

編集後記

ディレクター:齊藤 弥(秋田放送)

主人公の社長、本郷武延さんの人柄が如実に表れているのが、初めて自社開発したスプーンライトをカメラの前で自信満々にプレゼンテーションするシーン。会社の経営が火の車だった時期。誰が見ても経営をV字回復できるような商品ではないのですが、それでも本郷さんは自信に満ちあふれています。私は本郷さんを10年間見てきましたが、彼は常に自信がある。時に根拠がないこともありますが(笑)。

工場閉鎖と従業員全員の解雇、工場閉鎖の翌日に新会社立ち上げという異例の出発をした町工場。創業後に独自商品を次々と開発しては、時に売れずに挫折。それでもあきらめずに商品開発を続け、従業員一丸となって販売してきました。
 そんな町工場がこのたび、世界のどこにもない画期的なコイルの開発に成功しました。これはアスターが単に運が良かったのか。それとも必然だったのか。

「世界中の研究者が発電効率の良いコイルの成型に失敗する中で、なぜ本郷さんだけが成功したのか?」という私の問いかけに対して、本郷さんは「生きていくことに必死だったから。」と答えます。

本郷さんの言葉や、番組で紹介するアスターが歩んできた歴史から、「元気がない」といわれる地方の企業、そして視聴者に、堅苦しい言葉を使えば“日々の過ごし方”や“生きる姿勢”について考えてほしいし、番組を制作した私自身も考え続けています。

番組情報

◆株式会社アスター
【住 所】秋田県横手市柳田12-3
【電 話】0182-38-8552
【H P】https://www.ast-aster.com/index.php

※業務内容 :自動車関連部品製造販売、産業機械装置の開発・製造販売、医療機器の製造、
LED照明機器の開発・製造販売、融雪シートの開発・製造販売

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