#209 夏に、冬に、咲く ~夫婦がつむぐ線香花火~

2020年2月15日(土)(テレビ朝日 放送) RKB毎日放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

夏の夜、誰もが楽しんだことのある花火。実はおもちゃ花火の国内生産額は、この15年で半分以下にまで落ち込んでいます。安価な輸入製品との価格競争で、国内の作り手が減少しているのです。中でも、古くは江戸時代から日本で親しまれてきた線香花火は、流通しているものの9割が中国製と言われています。今、線香花火の製造所は全国にたった2か所しか残っていません。
そのうちの1社が、福岡県南部のみやま市にある『筒井時正玩具花火製造所』。みやま市は、福岡県内の8軒の製造所のうち6軒が集中している九州有数の花火の産地です。

創業90年の製造所を切り盛りするのは、3代目の筒井良太さん(46)と妻・今日子さん(44)。花火が大好きな筒井さん夫婦も、輸入花火との競争に頭を抱える日々を送っていました。10年前、2人は「このままの売り方ではダメだ」と一念発起。地域の特産品を使用するなど素材にこだわり、持ち手を花びらの形に加工した線香花火を作り上げました。これまでの常識を覆す「40本1万円の高級花火」は、筒井さんの製造所を一躍有名に。見た目と火花の美しさから、全国のセレクトショップで人気を集めるまでになりました。

筒井さんはその傍ら、”線香花火の原形”とも言われる『スボ手牡丹』の製造も国内で唯一続けています。持ち手が稲わらでできているこの花火は、今、原料の藁が不足し存続の危機に瀕しています。お米が主食の日本で、なぜ手に入らないのか…?実は藁製品の需要低下とともに、稲藁を収穫する農家が減っているのです。そこで筒井さんが決断したのは、”新規就農”。田んぼを購入し、米作りから始めることにしました。

2人の活動はこれだけにとどまりません。花火づくりの体験教室に、今年はパンの販売も? 「花火の文化を残すために、どんなことにもチャレンジする!」そんな夫婦の1年を追いました。

編集後記

ディレクター:田尾彩美(RKB毎日放送放送)

 筒井さんの線香花火で初めて遊んだとき、いつまでも綺麗な火花が出てきて「こんなに長く楽しめるんだ!」と感動したのを覚えています。藁でできている“スボ手牡丹”は風を当てた方が綺麗に咲く花火、筒井さん曰く「風が少し強い日に遊ぶのがおすすめ」です。また、線香花火には“熟成”という変化が起こるそうで、買ったその年に使い切らなくても正しい方法で保存すれば、年を重ねるごとにさらに美しい火花が出るようになるんだとか。

厳しい時期を乗り越えて、国産花火を広めようと奮闘している筒井さん夫婦ですが、近年、「花火をやる場所がない」というお客さんの声をよく聞くといいます。公園では様々な遊びが“禁止事項”として掲げられるようなり、禁止されていない場合でも「周囲から迷惑がられるのでは…」と心配する声が多いそうです。私は山や田畑に囲まれた田舎町で育ち、夏には近所みんなで花火をした思い出がありますが、特に都市部では、子供たちが気軽に花火を楽しむことができなくなりつつあるように思います。そんな時代だからこそ、「これからは遊ぶ場所を提供することにも力を入れていきたい」という筒井さん夫婦。次はどんなアイデアが飛び出すのか、今後の活躍が楽しみです。

番組情報

◆筒井時正玩具花火製造所
【電 話】0944-67-0764
【H P】https://tsutsuitokimasa.jp/

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