其の14 俺は不屈の家具職人

2008年08月02日(土)(テレビ朝日OA) 静岡放送制作

藤井了さん(72歳)はこの道56年の家具職人です。日本有数の家具生産地静岡で彼の名を知らない人はいません。材料の選び方、管理、作り方、すべてにおいてこだわりを見せる彼の姿勢は業界でも一目おかれています。栄工芸という小さな工房が藤井さんの仕事場。奥さんと2人で切り盛りしています。そこには藤井さんの技術を学ぼうと若い職人が訪れます。効率化を求められ「職人」の価値がないがしろにされつつある今、叩き上げで育ってきた藤井さんは「今の若い人たちは可哀想だ」と言います。15歳で家具職人の世界に入り、厳しい師弟関係の下、長い下積み生活を過ごしてきました。藤井さんにとって、若い頃の経験が職人としての原動力だと言います。藤井さんが教えようとしているのは技術だけでなく職人としての心意気です。お客さんの要求に応えるために自分にどれだけのことができるか。毎日が勝負です。藤井さんは今、新しい作品に取り組んでいます。象嵌(ぞうがん)と寄木細工を組み合わせたロールトップデスクです。まだ誰もやったことがなく、藤井さん自身も初めて手掛ける作品です。藤井さん曰く、「新しいモノを作ろうという気力がなくなったら職人は終わりだよ。」挑戦し続ける職人、藤井さんの生き様をカメラが追います。


藤井さんたちが作ったロールトップデスク。一ヶ月半をかけて
完成しました。このあたり曲面になっているんですが、美しく松が浮かび上がっています。
◆俺は失敗の神様◆
藤井さんの失敗を恐れない生き方は、創造力を生み、次への活力になることを実感しました。
◆上には上がいてつながっていく◆
職人としての心意気を教え、教わる環境を作ることで技術は受け継がれていきます。

◆夢は自分で作るもの◆
夢は願うだけではダメ。作りたいと思う気持ちを行動に移すことが大事。藤井さんから強く感じました。
◆夢…失敗してもいいから奇抜なものを作りたい◆
藤井さんの夢は失敗してもいいから奇抜なものを作りたい。挑戦を続ける72歳、藤井了さんは力強く生きています。
◇ナビゲーター:牧野克彦(静岡放送アナウンサー)◇


◇ディレクター:静岡放送 神谷修二◇
実は藤井さんの工房は、私の自宅から自転車で5分ぐらいのところにあります。取材のない日にもよくお邪魔させていただきました。奥さんのいれてくれたコーヒーを飲みながらいろんな話しをさせていただきました。藤井さんはとにかく飾らない人。テレビカメラがあろうがなかろうが全く関係なし。自分の信念や考え方を「俺はこう思う!」ときっぱりと話す口調は、これまでの生き方に自信を持って貫いてきた力強さを感じました。「カメラ持ってくればよかった・・・」何度思ったか分かりません。
今回の取材では、藤井さんの強靭な体力と行動力に敬服させられっぱなしでした。
横浜へ取材に行った時のこと。朝早く静岡を出て、丸1日取材に付き合っていただき、疲れ果てて静岡に戻りました。ところが、藤井さんはその後奥さんとボウリングに行き200のスコアを出したと聞き、72歳の恐るべき底力を感じました。趣味も仕事も常に前向き。そんなバイタリティーあふれる生き方を見て、自分も藤井さんのようにかっこよく年をとろうと心に決めました。

遠藤さんが失敗した椅子革を張り
無事に完成しました。この椅子は「四方転び」と呼ばれる大変難しい手法で作られています。
背もたれの角度の計算式はややこしく、経験者でも錯覚を起こすといいます。
塗装を終えると迫力が増します。
じゃばらの部分を開けると・・・
収納棚が備えられています。

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