其の124 熊本発 水俣発!環境を守る紙ワザ師の挑戦

2011年2月5日(土)(テレビ朝日OA)熊本放送制作

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水俣市在住の和紙職人金刺潤平さん(51)が、西洋紙の祖と言われる「サマルカンドペーパー」の復元に取り組んでいる。
19世紀に途絶えた製法を、現地の人たちに伝授することで住民の雇用や収入を増やしたいと思っているのだ。
これまで金刺さんは繊維があるものは何でも紙にする技術に取り組んできた。
イグサの特性を生かして、大気中の水分や化学物質を吸収・吸着できる高性能の壁紙も開発した。
静岡県沼津市出身。上智大学理工学部を卒業と同時に、日本青年ボランティア協会から派遣され水俣にやってきた。
大学時代、学問を通して追求した「効率化」への疑問が解決出来ないでいた時期でもあった。
効率を追い求めた結果引き起こされた水俣病を肌で感じ、患者と接する中で、
金刺さんの価値観は確実に変わっていったのだ。
「サマルカンドペーパー」の復元は単なる地域おこしではなく、環境汚染にみまわれた水俣からのメッセージでもあるのだ。

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◆自分の力がどこまで 通用するか挑戦したい

◆子どもたちを変える パワーを秘めている

◆見捨てられた素材に 命を吹き込む

◆人間の知恵と技術があれば環境を守ることができる



◇ディレクター:中村レン◇
環境問題やエコという言葉が日常に氾濫しています。でも環境被害の恐ろしさを本当に感じているのか?自然災害だけがそうだと思ってないだろうか? 水俣病患者と長年接してきた金刺さんは言います。金刺さんは当時のことをあまり多くは語ろうとしません。しかし人間が勝手に廃棄物だと決めつけた素材を紙として蘇らせる金刺さんの技術はこうした経験がベースになった「再生」へのメッセージだと感じています。今回のサマルカンドペーパーのプロジェクトも、自分の利益になるわけではありません。それでも金刺さんは自分の技術を必要とされるならと、請われれば全力で問題に取り組みます。それが自分を育ててくれた水俣という土地・そして人への恩返しに繋がると信じています。だからとにかく金刺さんは忙しい。日本にいてもなかなかスケジュールが合いません。番組では紹介できませんでしたがPTA会長の仕事にNPO法人の仕事、世界の若者を集めた環境を考えるワークキャンプも日本で最初に始めました。見る限り「休み」はゼロ。しかし金刺さんは「好きなこと(紙漉き)を一生の仕事にしてるんだから休みの日にわざわざやりたいことなんてない。」と笑い飛ばします。
サマルカンドでは言葉の壁を乗り越えながら、一枚の紙を通じて金刺さんの想いが伝わっていく様子を目の当たりにできました。二年後あの工房がどうなっていくのか楽しみです。
金刺さんはいま、福島県昭和村での「紙」による地域おこしにも取り組んでいるそうです。今後も「紙ワザ師」の活動に注目していきます。

◆お問合せ先など◆

水俣浮浪雲(はぐれぐも)工房
【住所】〒867-0034 熊本県水俣市袋42
【電話・FAX】0966-63-4140
【ホームページ】浮浪雲(はぐれぐも)工房 ホームページ

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