東京・竹芝港からおよそ120km、太平洋に浮かぶ「伊豆大島」。
東京が誇る、自然豊かな離島の一つです。
三原山の噴火で出来た火山島で、海が荒れると閉ざされてしまう厳しい環境の中で、島の人々は独自の食文化を育んできました。
その代表的なものが保存食の「くさや」です。他にも伊豆諸島特有の野草「明日葉」を使った料理などがあります。
しかし、2013年10月。
台風26号がもたらした豪雨で、土砂崩れが発生。土石流が家屋を飲み込み、36人が死亡、3人が行方不明となりました。中には、消滅してしまった集落も…。人々の暮らしは一変し、重い空気に包まれてしまったのです。
そんな伊豆大島を「美味しいもので元気にしたい」と奮闘する、”名物母ちゃん”がいます。島の北部・泉津地区でお弁当屋さんを営む、坂下千代子さん、通称「お千代さん」。
手間暇かけて作るお弁当は、島ならではの食材を使っていて評判です。
「心がこもってあったかい」「食べると元気になる」と…中でも、「はんばのり」を使った、特製の混ぜご飯は、天下一品。そして何より、常にパワフルで明るいお千代さんは、大島の人気者なのです!
しかし、彼女も去年の台風で被災し、自宅と店を土砂に襲われていました。
「こういう時こそ頑張って、島に活気を取り戻したい」と奮起し店を再開させたのです。
今回は、この名物母ちゃん、”伊豆大島のお千代さん”の暮らしを、去年の冬から半年間に渡り取材しました。
そこには、時には厳しく時には沢山の恵みをもたらす自然と共存しながら、たくましく生きるお千代さんと伊豆大島の人々たちの姿を捉える事が出来ました。
編集後記
ディレクター:市村 奈穂(ViViA)
伊豆大島に生まれ育った坂下千代子さん。心から島を愛する彼女は、去年の台風で自分自身も被災した直後にも関わらず、今回の取材を快く受けてくれました。「少しでも島が元気になるきっかけになれば」と、あくまでも島のことを考えてです。そして、私たち取材班に対しても、「これ食べな!」「おなかすいてない?」と常にお母さんのように気遣ってくれていました。まさにお千代さんは、あったかい「島のお母ちゃん」なのです。
取材中、お千代さんと行動を共にすることで沢山のことを教えてもらいました。伊豆大島にある自然の恵み、そして皆がそれに対して感謝し大切に頂いていること。四季折々の旬の味を美味しく食べる知恵…。地のものを大事に食べるのは、島の歴史にも関係があります。
火山島であり、周囲を荒々しい海に囲まれた離島である伊豆大島では、昔から人々が自然の厳しさを受け入れて暮らしてきたそうです。かつて噴火で、島の人が散り散りに避難したこともありました。お千代さんはそんな体験を語りながら、しみじみと言っていました。「自然と共に元気に生きて行かなければいけない」と。時には猛威もふるい、時には沢山の恵みをくれる自然と、島の人々は向き合いながら暮らしているのだと痛感しました。
番組情報

伊豆大島観光情報
◆東京都大島町役場 観光産業振興課
【電 話】04992-2-1446
【FAX】04992-2-1371
お千代さんのお弁当&桜株祭りに関する問い合わせ
◆かやぶき
【電 話】04992-2-9832
※弁当製造所 販売は島内の各商店です