昭和の面影が残る下町、東京・墨田区。高度経済成長期にはおよそ9700件もの町工場が軒を連ねる「ものづくりの町」でした。しかし現在では、3000件ほどに激減。
その原因は景気の低迷や後継者不足などです。
この町に次々と新しい試みにチャレンジし、注目を浴びている町工場があります。それが「株式会社 浜野製作所」。2000社以上の企業と取引する金属プレス工場です。深海探査機「江戸っ子一号」の開発に携わった事でも知られています。父親のプレス工場を継いだ浜野慶一社長は「町工場から、日本のものづくりを変えられることを発信したい。」
そんな熱い思いで日々、新しい事にチャレンジし続けています。そして去年、スタートさせたのが「ガレージスミダ」。真っ赤なガレージのような建物に、デジタル工作機器を完備した、ものづくりのシェアオフィスです。浜野製作所の技術、職人の技がアイデア豊富な若手起業家と共に製品開発が行える場所になればと、浜野社長が始めました。
第1号の入居者が、「株式会社チャレナジー」の清水敦史さん。現在開発を進めているのが、プロペラ式に変わる次世代風力発電機「垂直軸型マグナス式風力発電機」。順調に開発が進めば「台風の強大なエネルギーを電力に変える事ができる発電機」だというのです。この何とも夢のある発電機の開発が、今着々と下町の町工場の中で進められています。
世界を目指して挑戦する、「スーパー町工場」。そこで生まれる様々な開発物語をご紹介します。
編集後記
ディレクター:市村 奈穂(テレビ朝日映像(ViViA))
かつて約9700件もの町工場があった、「ものづくりの町」墨田区。日本の経済成長を支えてきた町工場の数は、現在3000軒ほどに減ってしまいました。町を歩けば、「あの工場もこの工場もなくなった、後継ぎがいない…。」寂しい声を沢山耳にしました。
そんな時代に、新たな挑戦を続ける町工場があります。それが「浜野製作所」。去年工場の一角にシェアオフィス「ガレージスミダ」を設立しました。アイデアを持つ人がここで起業し、町工場が培ってきた「ものづくり」の技術で製品開発をサポートする画期的なシステムです。
そして今。実際に世界初となるかもしれない“次世代の風力発電機”の開発が、この場所で着々と進んでいるのです。
これまでも新しいアイデアで周囲をあっと驚かせてきた、浜野慶一社長。しかしその根底にある思いは、昭和の時代を支えた人々となんら変わりはありません。『“ものづくり“を誇りに思い、先人たちから受け継いだものを未来に伝えていく。それが最も大切なことなのだ』と。 この努力が実を結び、様々な製品が墨田区から世界へ向けて発信されていくのを楽しみにしながら、今後も東京が誇る「ものづくりの町」を、見つめ続けたいと思います。
番組情報
★ガレージスミダへの入居希望、製造依頼
株式会社浜野製作所
【住 所】東京都墨田区八広4-39-7
【電 話】03-5631-9111