沖縄の風景を彩る赤瓦屋根。
その赤瓦が、生活の中でも使われている。
沖縄県内のカフェなどで見かける「赤瓦コースター」。
「吸水」と「蒸発」という特徴があり、使い込むほどに味が出る人気の商品。
これを作っているのは与那原町にある新垣瓦工場の父と息子。
息子が商品化した赤瓦コースターは赤瓦色から始まり、今ではカラフルでおしゃれな品揃え。
もともと屋根瓦の工場だったが、親子はコースターづくり1本にする決意をした。
息子は新たな販路を開拓するため、タイにもショップを構え、売り込みに奮闘中。
赤瓦生産の町、与那原町に代々工場を構えてきた父がなぜ、コースター作りに経営を変えていったのか、一方で世界のニーズを読みながら海外で一人、商品を売り込む息子の挑戦を描く。
編集後記
ディレクター:本橋 亜希子(沖縄テレビ)
新垣瓦工場に取材を申し込み、いざ取材を始めて見ると、正直悩まされた。
父親・文男さんから「撮影NG」を出されてしまうことが多かったからだ。工場内の機械、釜の内部のコースターの並べ方、なぜ屋根瓦からコースター「1本」へ路線を変えたのかなど、「撮影で触れないでほしい」点が多々あり、なぜここまで撮影に慎重なのか、私にはすぐに理解できずにいた。
今、与那原町内の瓦生産は低迷している。生活スタイルが変わり、コンクリート屋根や、比較的安価な輸入瓦が使われるようになっているのが現状だ。代々続く家業であることが多い赤瓦工場にとって、路線を変えるにも、新たな商品を売り出すのも、かなりの覚悟がいるであろう。そのような過渡期の中、奮闘していたのが父親・文男さんだったのだ。
オリジナルの金型やプレス機を作るためにかなりの資金を費やし、試行錯誤しながら技術を積み上げていった父・文男さん。一方で、常に新たな発想で販路を開拓したのが息子の拓史さん。
タイで販路を見出している息子は、外に出たことで改めて家業の歴史と、製品の精度の高さを認識させられることとなり、少しずつ手応えを感じてきている。この親子から学んだことは、先人の知恵と歴史、そして時代の流れを敏感に察知しそれを物作りに反映させるバランス感覚をどちらも持ち合わせることだ。これは製造業にとどまらず、全ての業界に当てはまる教えだろう。
番組情報
◆新垣瓦工場
【電 話】098-945-2617
◆浜辺の茶屋
【電 話】098-948-2073
◆GIFT GALLERY MIYABI
【電 話】098-869-9120