其の7 有田の里でお碗が歌う

2008年05月31日(土)(テレビ朝日OA) 長崎放送制作

子供の頃、茶碗をたたいて親に怒られた憶えがありませんか?そんな茶碗が楽器になってしまうのです。「碗琴(わんきん)」と呼ばれる楽器は、形も大きさも違う茶碗を並べて音を奏でるもので、50年前に佐賀県有田町で生まれました。一度は途絶えたその音色を復活させたのが、有田焼の振興に携わる筒井孝司さん(56歳)です。しかし、考案者の遺族から譲り受けたのは14個の茶碗のみ、そこから筒井さんの音探しが始まりました。これまでに、たたいた茶碗は1万個。自宅はもちろん、仕事先でも、目に付く茶碗はとにかくたたかずにはいられません。そんな筒井さんに陶芸家の協力者が現れました。2g違いで40個の茶碗を焼いてくれたのです。果たして理想の音は見つかるのでしょうか?仕事柄、最近売上げが落ちている有田の現状に危機感を抱く筒井さんは、「碗琴」が有田焼に親しむアプローチになり、町の活性化につながればと願い、今日も演奏を続ます。

◆有田焼には音がある!たたいた茶碗10000個◆
お茶碗がこんなに素敵な音を奏でることをご存知でしたか?碗琴は磁器の里・佐賀県有田で50年前に生まれた楽器です。磁器の澄んだ音色に魅せられた筒井孝司さん
◆有田を過去の町にしてはいけない◆
一度は陶芸の道を志した筒井さんですが、今は、有田の音作りに夢中です。
◆ふるさと・有田の音を次の世代に伝えたい!◆
そして音を通して、ふるさと・有田の魅力を次の世代に伝えたいと思っています。
◆夢…そして音を通して、
ふるさと・有田の魅力を次の世代に
伝えたいと思っています。◆

そんな筒井さんには、もう一度、窯をおこして自分の手で、茶碗を焼きたいという夢があります。その時どんな音に出会うのか、筒井さんの音探しの旅は、これからも続きます。
◇ナビゲーター:友成由紀(長崎放送アナウンサー)◇


◇ディレクター:長崎放送 平井亜子◇
今、この原稿を、有田焼のマウスパッドを使いながら書いています。とっても使いやすくて、私のお気に入りです。高級食器のイメージが強い有田焼ですが、最近ではこのように生活に沿った商品が次々と開発されています。背景には、有田が抱える厳しい経済環境があるのです。中国や東南アジアの安い食器に押され、かつ、国内産地の競争もあり、有田は最盛期の3分の1にまで売上げが落ちています。かつては業務用中心に商売が成り立っていた有田焼ですが、個人客をいかに掴むかが、生き残りにつながる課題のひとつになっています。作家が作りたい物を作れば良かった時代から、消費者が求める物を形にする時代へと、確実に有田は転換期を迎えています。そんな有田の最近のヒット商品は、焼酎グラス、ビアグラス、ラーメン鉢、変わったところでは、万年筆にゴルフのパターなど。異業種とのコラボレーションも注目されています。ところで、番組の中で窯元が意見を出し合って開発していたのは、お粥専用のお碗です。スプーンタイプのれんげとセットで完成の運びとなり、陶器しでも特に女性客の目を引いていました。陶器市が終わっても、交渉次第では安くしてもらえるものですよ。取材で有田に通ううちに、すっかり有田焼きのファンになってしまいました。やはり、本物はいいものです!どうぞ、有田へお出かけください。そして、高温で焼き締められた磁器だけが持つ、澄んだ音色に耳を傾けてください。

筒井孝司さん(56歳)
所属:大有田焼振興協同組合   専務理事
【古田商店】
佐賀県西松浦郡有田町本町丙1058 TEL: 0955-42-3215
【陶悦窯】
佐賀県西松浦郡有田町三代橋西部甲778 TEL: 0955-42-3464

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