#38 流氷に感謝!オホーツク極上の鍋

2012年1月29日(日)(テレビ朝日放送) 北海道放送制作                            協力 文部科学省

流氷の使者クリオネ

北海道オホーツクの海は、例年1月末になると一面、流氷に覆われる。
愛らしいクリオネと共にシベリアから無数のプランクトンが運ばれ、氷の下に豊饒の海を作り出す……毛蟹、タラバ蟹、ホタテ、ほっけ、キンキ、ウニ……沿岸に暮らす人たちはこれら天上の食材を使った鍋料理で、シバレた体を温めてきた。

孫にウニ鍋を振舞う川内勲さん(左)

『オホーツクのゴッホ』と呼ばれるアマチュア画家、川内勲さん(67歳)は、漁協のセリ人を四十年も務めた魚通。遠来の客や元気な孫たちに振舞うのは、網走の漁師に伝わる”ウニ鍋”だ。バフンウニを贅沢に鍋にぶち込み、ニラを入れ、卵でとじる。ウニの赤、卵の黄色、ニラの緑は実に彩り鮮やか。古来オホーツクの漁師は、傷み始めたウニをこうして鍋料理にして味わってきた。まさに唯一無二の極上鍋!

網走モヨロ鍋。紀元3世紀ごろにオホーツクで暮らしたモヨロ人をイメージして作られた

網走の飲食店では「モヨロ鍋」なる料理が味わえる。モヨロとは、紀元3世紀ごろ北方からこの地に移り住んだ少数民族を指す。謎に満ちたモヨロ人の食生活をイメージしたその鍋は、驚きの味!
そして世界遺産、知床・羅臼の町には、冬の味覚タラを使った絶品の鍋があった。料理名人の民宿女将の言葉に驚いた……「羅臼の鍋料理が美味いのは当然。だって、羅臼の海そのものが鍋なのだから!」その言葉の意味するものは?

流氷の下を泳ぐアザラシ

◇ディレクター:杉原 薫(北海道放送)◇
人間は、自然によって、生かされている、食べさせてもらっている……そんな思いを強くした取材でした。シベリアから南下する流氷は、たくさんの栄養分を海に運んで来ます。羅臼の水中カメラマン、関勝則さんが撮影した映像を見ると、流氷の下には、無数のプランクトンが浮かんでいて、それを魚や毛蟹がむさぼり、さらにその魚をアザラシが食べて……と、食物連鎖の底辺から頂上までを一編に知ることが出来ます。こうして命を戴いて、私も今日を生きている。豊かな恵みをもたらす流氷に感謝です。かつて地元の漁業関係者は流氷を「迷惑な氷」と嫌っていましたが、流氷が海に栄養を運んでくることが専門家の調査研究で明らかとなってからは、漁獲量を厳密に定め、養殖にも乗り出すなど、氷の海と未来永劫仲良くしていく道を歩み出しました。ちょうど東京で放送日を迎えるころ、オホーツクの海には流氷が接岸しているかもしれません。厳しくも美しい流氷を今度は是非皆さんの目でご覧ください。その節は、地元の、温かな極上鍋をご賞味ください。

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◆番組でご紹介した情報◆

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■「鮨かっぽう 花のれん」
【住所】〒093-0005 北海道網走市南5条東2丁目
【電話】0152-44-7576

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■「網走市郷土博物館」
【住所】〒093-0041 北海道網走市桂町
【電話】0152-43-3090

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■「モヨロ貝塚」
【住所】網走市北2条東2丁目
※2013年に『モヨロ貝塚館』がオープン予定

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■「知床ダイビング企画」
【住所】〒086-1842 北海道目梨郡羅臼町麻布町50
【電話】0153-88-2909
ホームページ


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■「民宿 本間」
【住所】〒086‐1815 北海道目梨郡羅臼町海岸町53
【電話】0153-89-2309

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