キーワードは完全燃焼―。
「世界最後発」
を自称する長野県千曲市の薪ストーブメーカーが次々に独創的な製品を生み出している。
独自の技術を応用したことで、雑草から長野県特産のキノコ培地、広葉樹の間伐材、針葉樹、竹まで何でも燃やせるようになった。
「その核にあるのは、「完全燃焼」にこだわり続ける72歳の”燃焼おやじ”の存在。明治41年から受け継がれた鍛冶職人の魂が、そこにある。
燃焼おやじの夢は、日本から海外へ、そして「世界を変えたい」と大きい。さらに時代を飛び越え、壮大なスケールで独創的な製品開発を進めている。
“完全燃焼”にこだわり続ける燃焼おやじの夢は尽きない。
編集後記
ディレクター:松井 健悟(信越放送)
ある日の打ち合わせにて―。
社長からスケール感の大きいエピソードが連続するので、思わず訊ねてみました。「社長は、自信家で野心家?」「ん~、自信家ではあるけど、野心家ではないね」半世紀近く続く会社の社長として、一人で会社を成長させてきたのですから、野心も大いにあろうかと思っていたのですが、そうではない。正直、意外な答えでした。
野心ではなく、純粋な「おもしろい」と「好き」。そして、絶対外せないものが鍛冶職人の血と燃焼へのこだわりでした。極端なことを言えば、社長としてどうあるべきとかよりも「おもしろく燃やす」ことが何より大事。そこにこだわり続けることが、強烈な自信になっていました。茂木さんのキャラクターもあって、次々と「よそにはないもの」が出てきます。なかなか自分の名前は製品に付けられません。
そんな“燃焼おやじ”は、世界のエネルギー問題を見据えています。そのひとつが竹でした。
他方、長野県飯田市の船頭・曽根原さん。地域を元気にするための活動を展開するエネルギッシュな“おやじ”です。渓谷にはびこる竹の活用方法をいつも考えています。
日本国内でも地域によって差はあれど、竹林の問題は想像以上に深刻です。曽根原さんの言うように「ほったらかしたら悲惨」で、人は寄り付かないようになるし、ゴミは捨てられるようになるし、竹は地面の表面に根を張るので災害の原因にもなったりします。
大きな問題を解決するためには「人のチカラ」が欠かせない。人を動かす力を持つ曽根原さんと、その循環サイクルにドンと構える茂木さんが生み出した製品たち…。
もしかしたら燃焼おやじの独創的な製品をきっかけに、竹をエネルギーにする循環システムが信州から広がるかもしれない。なにかが生まれそうな予感がしてくるほどです。なんだか、ちょっとワクワクして取材を終えた自分がいました。