
愛知県東部に位置する東栄町。
人口3400人が暮らす小さな町です。
過疎高齢化が進む地域の希望を託した町おこし。
その原動力になっているのが、地元の人でさえ知らなかった”白い粉”。それが国内のみならず世界の大手化粧品メーカーが使用しているファンデーションの原料、セリサイト(絹雲母)です。

マレーシアや中国などの海外でもセリサイトは採掘されていますが、日本で採掘しているのは東栄町だけ。しかも、東栄町のセリサイトは、白色度が高く、汗にぬれても色がくすみにくいとされています。セリサイトを生産しているのが三信鉱工。
煌びやかな化粧品のイメージとは異なる薄暗い坑道の先で職人たちが掘り起こしていました。

世界で認められている鉱物を町の活性化につなげようと、三信鉱工の社長、三崎純市さんと地域おこし協力隊で東栄町に来ていた大岡千紘さんがタッグを組みました。女性にターゲットを絞り、オリジナルのファンデーション作りができる体験を企画。さらに、東京で初めてのPR活動にも挑戦。果たしてお客さんの反応は。
編集後記
ディレクター:間淵 裕子(メ~テレ)
わたしが、最初にこの“セリサイト”を知ったのは、情報雑誌に掲載されていた“手作りコスメ”と“鉱山探検”でした。女性なら“コスメ”に目が行くのかもしれませんが、私は迷わず“鉱山”に興味を持ちました。
同じ愛知県なのに、いまでも鉱山の中で、しかも手掘りで採掘している職人がいる… 鉱山と聞くと、歴史の教科書で見たぐらい…それがこの時代にまだあったのかと。そして、その鉱山で採掘された石がファンデーションの原料だったことも初耳でした。しかも有名なブランドの化粧品メーカーがこぞって使っている!それを知って心が躍らずにはいられませんでした。
そして実際に鉱山に行くと、まるでタイムスリップしたかのような世界が広がっていました。1日7時間、職人がツルハシを使い、薄暗い坑道の中で掘り続ける。男性が女性の美を支えているといっても過言ではありません。煌びやかな化粧品と鉱山、このギャップにも萌えました。そして、何と言っても今回の主人公、大岡さんの人柄もよかったと思います。
全国各地の祭りを巡るのが大好きという彼女が、たまたま花祭りのある東栄町を見つけて、やってきた。祭りが好きじゃなかったら、東栄町を見つけなかったら、「手作りコスメで町おこし」は今頃どうなっていたのかと思います。過疎高齢化の一途をたどる東栄町。過疎化、高齢化、少子化ときくとマイナスイメージやかわいそうだなと思う人が多いのかもしれません。でも実際地元で生きる高齢者たちは常に笑顔。寂しさを感じつつも笑い声が絶えなかった。そこに大岡さんという若いチカラが加わり、町をどうにかしたいという気持ちが地元中に伝わって、行き先々で彼女のことを知らない人はいないくらいでした。
現在、東栄町の人口はおよそ3400人、2040年までに半減するといわれています。けれど彼女が東栄町に来たことで、きっと流れは変わると思っています。彼女が新たな息吹となって…「美の原石」で地域の未来を変える!