#116 手のひらに願いをのせて～木のおもちゃで幸せをデザイン～

ディレクター：齋藤 善徳（福島テレビ）

木工産業の町にあるマストロ・ジェッペット。日本の伝統技術の系譜を引き継ぎながらも、西洋的なデザインが目を引く木のおもちゃを作っています。ｆａｖａ（ファーヴァ）はやわらかで美しい曲線とビビットな玉の色。揺らせば小気味よく音が響き、心を和ませます。しかも１枚の板から形を掘り出すことで木目が揃い美しい製品に仕上げているのです。職人さんの良い製品を作りたいという思いと技術が込められたおもちゃです。マストロ・ジェッペットのおもちゃにはたくさんの素晴らしさが詰まっています。

おもちゃを生みだす人々もとても魅力的です。デザイナーの富永さんはいつも明るく周囲を和ませ、卓越したアイディアで道を切り開きます。家具職人で社長の武藤さんは実直さと情熱で仲間をけん引し、木工職人の児山さんは子どもが大好きで作るものにも優しさがあふれています。営業の渡部さんはさりげない気配りができ、思慮深く、人と人を繋ぐまとめ役です。製材業の関根さんや建築業の芳賀沼さん、営業の相澤さんも仕事熱心でいつもにこやか。手にした人たちが笑顔を浮かべる製品になる秘密はこの人柄にあるのかも知れません。

マストロ・ジェッペットの人たちは願いを持って働いています。富永さんは子どもたちを笑顔にしたいと、おもちゃだけでなく、食器や家具もデザインしています。児山さんは職人さんのおもちゃが欲しいという人のために、儲けを考えず、コツコツと作り続け、木工技術を残したいと親子で頑張っています。渡部さんは、ものづくりを支えていきたいと願いながら、今ここにいる意味を見出しています。心に願いを抱き、ささやかでも大切な幸せをデザインしている方々です。人々の思いや願いが交差する場所。それが働く場所なら、働くことの本当の意味が生まれることを教えて頂きました。

作り手たちやものづくりを支える人々はある確信を持っています。それは誰かの手に届くということです。製品の行き先を知ることはできなくても、手にする人に思いを馳せることができる。だからこそ丁寧なものづくりができるのだと思います。それこそが日本のものづくりではないでしょうか。

今、マストロ・ジェッペットでは子どもたちの生活を豊かにしようと、おもちゃだけでなく食器、家具と製品の幅を広げています。「木のおもちゃに触れた子どもが成長し、木の家具を使い、やがて木の家に住む。」木の文化を伝える出発点にあるのがおもちゃです。これからも新しい製品を生みだしながら木の文化を伝えていくことが期待されます。

マストロ・ジェッペットの物語は始まったばかりです。いつの日か、日本だけでなく、世界に知られる子ども用品の総合メーカーになるのではないでしょうか。そして木に携わる仕事をする全ての人たちが良かったと思える世界を実現する。そう私が信じられるのは働くみなさんの笑顔に希望が映っているからかも知れません。

◆株式会社マストロ・ジェッペット
【Ｈ　Ｐ】www.mastrogeppetto-jp.com
【電　話】0241-62-1600
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