
山梨県北杜市の一般社団法人・星つむぎの村が行っている出張プラネタリウム。この活動を発案したのは、自らを「宙先(そらさき)案内人」と名乗る高橋真理子さんです。高橋さんは元々、山梨県立科学館に勤務。プラネタリウム番組の制作などに携わっていましたが、本物の星を見られない人たちにも星空を届けたいという思いから退職。2013年から出張プラネタリウムを始め、全国各地の病院や福祉施設などに星空を届けています。

出張プラネタリウムはエアドームの中に星空や宇宙の映像を投影。その日の夜空に見える星や、定番の星座解説、さらに地球を飛び出して宇宙の旅へ。ただ、宙先(そらさき)案内人はプラネタリウムを天文学的な解説だけに終わらせません。美しい映像ともに「星と人とのつながり」について話す高橋さん。その優しい語りは、大いなる自然の中に生きている私たち一人ひとりの「命の輝き」に気づかせてくれます。

そして宙先(そらさき)案内人は、上映の最後にこう語り掛けます。
「きょうは一緒に星を見ました」
それは「私たちは1人じゃなくて、みんなで一緒に生きている」というメッセージ。「星を通じて人と人をつなぎたい」と願う、宙先(そらさき)案内人の思いに迫ります。
第60回科学技術映像祭 部門優秀賞(教育・教養部門)を受賞しました。
								
					編集後記
					ディレクター:深澤賢吾(山梨放送)
「人はなぜ星を見上げるのか―」。実は今回の取材に入る前、恥ずかしながら私自身は星や宇宙の世界について、ほとんど知識がありませんでした。ただ、宙先(そらさき)案内人の高橋真理子さんと出会い、出張プラネタリウムの活動で取材させていただく中で自分にも大きな変化がありました。それは自然と毎晩、夜空を見上げるようになったということです。星と人をつなぐ、高橋さんの宙先(そらさき)案内。出張プラネタリウムを通じたそのメッセージは、私たちの心の奥底に沁みわたるものだと実感しています。
「星つむぎの村」という名前には、みんなで星を見上げることで、人のつながりが生まれて一緒に幸せをつくりたいという願いが込められています。日本全国を飛び回り、さまざまな人たちと一緒に星を見上げ、笑顔と元気を届けている高橋さん。番組を通じて高橋さんの活動を知っていただき、より多くの人たちに出張プラネタリウムの素晴らしさを体験してもらいたいです。