
見渡す限り田畑が広がる、秋田県大仙市豊川地区。住む人の半数が農家で、半数が高齢者のこの街で、茶髪にばっちりメイクで畑に立つひとりの女性がいます。小松瑞穂さん(27)は、この街で一番若い農家。年間5トンのエダマメを、ひとりで育てています。
瑞穂さんは、10代続く農家の跡取り娘。幼い頃から、地域の人たちに可愛がられて育ちました。物心ついた時には農家を継ぐことを決めていた瑞穂さん。その理由は、「育ててくれたこの街に恩返しがしたいから」。
高橋心雪さん(14)は、近所に住む中学生。学校で開かれた講演会で、農業の魅力を熱く語る瑞穂さんに憧れを抱き、瑞穂さんのエダマメ畑に足を運ぶようになりました。「瑞穂さんの姿を見て、若い人が農業を継がなければいけないと思うようになった」と話す心雪さん。将来、農業の道に進むことを決めました。

瑞穂さんは今年、育てたエダマメで加工品を作るという、新たな挑戦を始めました。第一歩に選んだのは、”エダマメ納豆”。「エダマメでこの街を元気にしたい」。瑞穂さんが目指すエダマメ革命(レボリューション)の行方は、果たして。
編集後記
ディレクター:中村 真梨子(秋田放送)
今回の主人公は、エダマメ農家の小松瑞穂さん、27歳。彼女に初めて出会ったのは、2年前、とあるイベントの会場でした。第一印象は、「某・美ボディタレント似の美女だなぁ…」。当時、報道記者として取材に訪れていた私は、雑なメイクに髪はボサボサ、服装は動きやすさ重視。体力勝負の仕事をしながらも美しさを保つ瑞穂さんに憧れを抱くと同時に、「どうしてこんなに頑張れるのだろう?」という素朴な疑問が芽生えました。
「私、中身はオッサンなので、おじいちゃんおばあちゃんと一緒にいる方が楽なんですよ」と話す瑞穂さん。取材を重ねると、彼女の原動力が“地域への感謝”だということを知りました。イベント会場で颯爽と歩く姿も素敵でしたが、畑で土にまみれ、農作業の合間に地域の人たちと秋田弁で笑いあう姿は、それ以上に可愛いらしく、魅力的に見えました。ドキュメンタリー番組の制作は初めての経験でしたが、そんな瑞穂さんの魅力が少しでも全国の皆さんに伝われば幸いです。