
新潟県のフルーツ産地、新潟市南区白根(しろね)地区。江戸時代から果樹栽培が盛んに行われてきた地域で、いま、注目の若手農家がいます。とみやま農園・富山喜幸さん(29)。新潟では珍しいプラムの栽培に取り組んでいます。
プラムは「すもも」と呼ばれているように、酸味の強いイメージがありますが、富山さんのプラムは甘くてジューシー!特に大玉品種の「貴陽(きよう)」は、希少価値が高く、全国から注文が絶えません。

就農するにあたり、「自分の色を出したかった」という富山さん。しろねが誇る梨、桃、ぶどうに加え、プラムも地域ブランドの一翼を担えるようにと、奮闘しています。
しかし、産地は今、農家の高齢化問題に直面しています。15年前は700軒近くあった果樹農家も、現在は460軒に減り、担い手不足が深刻化しているのです。この現状を打破しようと、富山さんはじめ若手農家が立ち上がり、

昨年「しろね農業青年部」を結成しました。果樹はもちろん、米や野菜などそれぞれ異なる農作物を作る生産者たちが集まり、これまでにない自由な発想で産地を盛り上げていこうというチームです。
メンバーの一人、関根邦仁さん(37)は、雪国でアボカドの栽培に取り組む個性派農家。約40品種を作り、国産アボカドのおいしさと可能性を探っています。

「農業をもっと身近に感じてもらいたい!」と様々なアクションを起こしている、しろね農業青年部のみなさん。現在、メンバー共通のパッケージを作り、しろね産のお米を全国へ届けようと構想をねっています。
さらにこの夏、富山さんは自慢の貴陽でプラムの重さ世界一を目指し、ギネス世界記録に挑戦します。産地を未来へつなぐため、魅力ある農業を発信する若者たちの今を追いかけました。
編集後記
ディレクター:高橋紘子(新潟放送)
「プラムでギネス!?」しろねにおもしろい農家がいると聞きつけ、プラム農家・富山喜幸さんに会いに行ったのは2年前。明るく純粋な青年でした。
その魅力に惹かれ、今回取材を進めると、富山さんのまわりには今の時代を担う農家がズラリ!ファッショナブルなナシ農家に、元バンドマンのアボカド農家など、個性あふれる若者に出会うことができました。皆、自分たちの色を持ち味に、おいしいフルーツでしろねを盛り上げていこうという情熱家! 瑞々しい感性で、新しい世界を切り拓いているようでした。「周りにいる人を巻き込みながらワクワクできれば、出会った意味がある」という富山さん。
私も、地域のチカラを一緒に作っていけるようなテレビマンでありたい、と心を新たにしています。