#203 海をわたる農業 ~土でつながる世界の輪~

2020年1月4日(土)(テレビ朝日 放送) 福井放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

食料自給率の低下や担い手不足など、厳しい環境に置かれている農業。そんな中、「儲けは少ないけれど…面白い!」そう笑顔で話すパワフルな農家がいます。
代々続く「農園たや」の7代目、田谷徹さん(44)。今回の主人公です。


農園があるのは、福井市中心部から少し離れた高屋町。美しい川が流れ、田園風景が広がる自然豊かな町です。田谷さんにはこの場所から叶えたい大きな夢があります。それは「農業で国際協力」。20代の頃、青年海外協力隊としてインドネシアへ渡った縁を生かし、10年前からインドネシアの技能実習生を受け入れています。

農園たやの実習には、特別な勉強会があります。

帰国後どんなビジネスをして、どう生計を立てていくのか。課題解決のためみんなで話し合い、勉強し、レポートを作成しているのです。まさに本気の技能実習!

大きく成長したいと福井にやってくるインドネシアの若者たち。初めて経験する日本での生活、難しい日本語。不安を抱きながらも、農業が好き!と真摯に土を耕し、早く一人前になろう!と勉強に励みます。彼らの思いを受け止め、熱が入る田谷さんの指導。美味しい野菜を作るだけではダメ、売れないと意味がない。農業で生きていこうとしている実習生と真剣に向き合っています。


田谷さんは実習生が帰国後もサポートを続けています。一年に一度はインドネシアに渡り、故郷で頑張る元実習生に会いに行き、彼らの農業を応援しています。言葉も文化も違いますが、農業を大事に思う心は同じ。土が繋いだ世界の輪は、少しずつ、少しずつ広がっています。海を越えて挑戦を続ける農家と、ひたむきに努力をする若者たちの姿を通して「明日も頑張ろう」そう感じていただけたら嬉しいです。

編集後記

ディレクター:奥村祐加(福井放送)

「丸ナス、美味しそう~!」「ピンクじゃが芋、きれいでしょ?」。今回の主人公、田谷徹さんは野菜を収穫するときも料理をするときも、とにかく楽しそう。元気が良くて笑顔が素敵な人です。そんな田谷さんですが、表情が一変する瞬間があります。それはインドネシアから来ている技能実習生と勉強会をしているときです。ピリッとした空気、鋭い眼差し。実習生とどれだけ真剣に向き合っているのか、ひしひしと伝わってきました。

毎年、田谷さんはインドネシアに帰国した元実習生に会いに行き、農業支援を続けています。今回は私たちも田谷さんに同行し、インドネシアへ。元実習生たちは標高1200m、山岳部の狭い農地でコツコツと作物を育てていました。畑へ行くにも細い山道を上ったり下ったりひと苦労。大きな機械が入らない山の斜面で、土を耕すのも収穫も全て手作業です。日本との違いを目の当たりにしながら、1番考えさせられたのは、たった今、日本で農業を学んでいる実習生たちのことでした。田谷さんの農園で実習をしているインドネシアの若者たちはいつも笑顔です。一生懸命農作業に励み、仕事が終わった後は毎日、日本語や農業の勉強に打ち込んでいます。高校卒業後、すぐに日本に来る実習生のほとんどは10代で、インドネシアにいる家族に給料の中から仕送りし、帰国後は一家の大黒柱として農業で生計を立てていこうとしています。慣れない日本で寂しさや不安もきっとあるはず。そんな彼らをもっと応援したい!と、インドネシアの農業を見て強く思ったのです。
夢に向かって頑張る実習生たちとその思いに寄り添う田谷さんに、私自身が支えられ、励まされた1年間でした。

番組情報

◆農園たや
【H P】https://www.nouentaya.com/

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