#282 “笑顔”支える大黒柱 ~元落語家と子どもたち~

2021年11月6日(土)(テレビ朝日 放送) 宮崎放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

宮崎県北部、太平洋に面した日向市は世界大会も開かれる国内有数のサーフタウンです。そんな日向市で開かれている意外な大会が「ひむかの国 こども落語全国大会」。2009年から毎年夏に開かれている恒例イベントです。
その立ち上げメンバーの一人が、日向市出身の元落語家、甲斐伸也さん(46)。「柱大黒(はしら だいこく)」として県内のイベントなどに出演するかたわら、子どもたちに落語を教えています。大黒さんも子どもたちも楽しみにしている「こども落語全国大会」…コロナ禍で2020年、2021年と2年連続で中止に。そこで大黒さんは「せめて宮崎の子どもたちだけでも落語を披露する場を作ってあげたい」という思いから「こども落語 県大会 大黒杯」を企画。費用は自腹、予算は20万円。台本や小道具の準備、運営も自ら行います。

普段は飼料工場に務める大黒さんは、職場のムードメーカー。工場長にも頼りにされる存在です。家族は妻と子どもが2人。「家でもずっとしゃべってる」と妻の香代さん。昔からお笑いが好きだったという大黒さんは、高校卒業後、落語家を目指し上京。同じ日向市出身の落語家・桂歌春さんに弟子入りしますが、遅刻などが重なり2年後に破門。さらに、ふるさとで待ち受けていたのは、父親の多額の借金。返済に追われる日々を送るなか「落語のことを考える余裕がなかった」と大黒さん。借金を完済し、家庭を持った時、心に浮かんだのが「迷惑をかけた人たちに落語で恩返しがしたい」という思い。
自腹で立ち上げた「大黒杯」も恩返しの一つ。大会には県内の小中高生22人がエントリー。リモート予選会を経て、8人の子どもが大ホールでの決勝大会に臨みました。

緊急事態宣言が明けた10月。こども落語全国大会の歴代チャンピオンが集う特別大会。大黒さんもスタッフの一人として参加しました。審査員として招かれたのは、かつての師匠・桂歌春さん。落語で恩返しを、という思いで邁進する元弟子にかけた言葉とは…。
みんなの笑顔のために力を尽くす、柱大黒こと、甲斐伸也さんの想いに迫ります。

 

編集後記

ディレクター:高橋晋作

「普段通りにお願いしま~す」「普通でいいです普通で!」

今回の取材で私が最も発した言葉です。柱大黒こと甲斐伸也さん。とにかくサービス精神が旺盛な方なんです。大黒さんの日常を撮影しようと、会社やご自宅に伺った際、カメラを向けると、合図をしたかのようにしゃべりだします。城跡巡りの撮影では、視聴者に説明するかのようにカメラ目線で語り始めます。「カメラ向けられるとスイッチ入っちゃうんすよ~(笑)」と大黒さん。ディレクターの思い描く“普段の”大黒さんとはちょっと違いましたが、終始笑いの絶えない楽しい取材でした。

普段は工場勤務のサラリーマン、家庭では2児の父、趣味は城跡巡り。番組内では触れませんでしたが、他にも、歴史マニア、阪神ファン、スターウォーズファンなどなど、いろんな趣味を持っています。どの話題にも明るく元気に語り始める大黒さんですが、落語の話題になると、表情が引き締まります。落語を教えている子どもたちへも、稽古前は楽しそうに話していたかと思えば、いざ稽古が始まると、真剣な表情で、時に厳しく指導を付けます。決勝大会やチャンピオン大会の際も、裏方に徹しながらも、しっかりと子どもたちの落語を見守っていました。大黒さんの落語愛、そして子どもたちへの愛情を感じました。奥さんによると、大黒さんは「じっとすることができない人。常に何かできないかを考えている人」だと言います。自腹で開催した大黒杯もその一つです。

「今度は城跡巡りの番組しましょうよ!」と毎回のように話す大黒さん。次はどんなことを始めるのか、大黒さんの今後に注目したいと思います。

番組情報

「こども落語全国大会」実行委員会事務局
【電話】0982-54-6111(日向市文化交流センター内)
【ホームページ】http://kodomorakugo.com/

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