#292 亡き兄、そして厳格な父へ… ~静かな決意と山梨マンゴー~

2022年01月29日(土)(テレビ朝日 放送) 山梨放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

南国のフルーツとして知られるマンゴー。これを山梨県で栽培する、守屋紀洋さん(31)。農業初心者でありながら、栽培の難しさと日々格闘しています。栽培3年目、過去の失敗を活かして収穫量も売り上げも大幅に増加。地元でも注目を集め、レストラン・結婚式場でも使われるように。地元JAは、農業振興に一役買ってくれることを期待しています。

守屋さんが頑張れる背景には家族の存在がありました。

小学6年生で母を亡くし、厳格な父に育てられた守屋さん。マンゴー栽培は、実は父から引き継いだ事業でした。「父に認められたい」という気持ちが、今も踏ん張れている理由の一つ。もう一つのモチベーションは1年前に亡くなった兄の存在。兄は脳性まひの障がいがあり、発語はできず、日常生活に介助が必要。マンゴーの仕事なら作業が細分化できるので、兄と一緒に働くことができるかも…と守屋さんは考えました。しかし栽培が安定してきた矢先、兄が突然他界。「兄と働きたかった」という後悔…守屋さんは新たな取り組みを始めました。

マンゴーを使った新商品の開発…。自社マンゴーを使った果汁100%ジュースは、お世話になっているレストランのシェフのお墨付き。この冬、自信をもって完成したジュースのラベルには、兄からとった「雅」の一文字がデザインされています。

亡き兄と厳格な父…守屋さんの人生に大きな影響を与えたふたり。父と兄への思いを胸に奮闘する、若手マンゴー農家の物語です。

編集後記

ディレクター:天野英和(山梨放送)

守屋さんとの最初の出会いは、2018年に弊社情報番組の生中継で紹介したことがきっかけでした。農業初心者でありながら、山梨でマンゴー栽培をする難しさと日々格闘する守屋さん。当時印象的だったのは、10aのハウスを一人で管理する守屋さんのストイックさでした。「なぜこの人はこんなに頑張れるんだろう」というのが率直な疑問でした。

それから毎年のように守屋さんの企画書を民教協に出し、出しては弾かれを繰り返していました。栽培3年目となった2021年、マンゴーの収穫量もかなり見込めるというタイミングで、この番組で取り上げられることが決まって、とてもうれしかったです。

取材を進めるにつれ、まず、守屋さんのモチベーションの一つに「父を超えたい」という思いがあることに気が付きました。守屋さんと厳格なお父さんの関係性というのは、きっとどんな親子にも通じる部分があるとも感じました。

そしてもう一人。2020年末に亡くなったお兄さんの存在。お兄さんは脳性まひの障がいを持ち、発語はできず、日常生活に介助が必要でした。守屋さんにとってお兄さんは人生に大きな影響を与えた存在で、マンゴーを始めるきっかけでもありました。しかし、大変恥ずかしながら、そんなお兄さんと守屋さんの心のつながりを、私は取材終盤になるまで気づくことができませんでした。最後の最後になってですが、守屋さんのエモーショナルな部分に触れることができた時に、やっと最初に感じた疑問の答えが分かったような気がしました。

取材を通じて、守屋さんの人間としての魅力をたくさん感じる機会がありました。私の力が及ばず、この番組でそれを十分に表現できたとは思えませんが、少しでも守屋さんの魅力が伝わればうれしいです。

最後になりますが、制作にあたり関わっていただいた出演者・スタッフの皆様に御礼を申し上げます。特に、早川カメラマン、加藤P、そして雪竹Pには、感謝の言葉も見つからないほどお世話になりました。本当にありがとうございました。

番組情報

株式会社採園

【HP】天空の輝き 採園─八ヶ岳完熟マンゴー
【Instagram】 @mango.yamanashi

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