#311 幸せの夢をよぶ ~山形唯一のミニデパート物語~ 

2022年08月06日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 山形放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

2020年1月、山形県は全国で唯一、デパート(日本百貨店協会加盟店)のない自治体になりました。県内は大騒ぎ、全国でも話題となりました。ところが…残っていたんです。

山形県鶴岡市の南銀座商店街に、嘉永5年(1852)創業の「南銀座 池田」という小さなデパートがあります。「食品以外は全て揃う」がうたい文句。毎朝オープン前に読み上げる社訓に池田のモットーが垣間見えます。“なんとなく足が向くお店…”。

高齢の女性が丸首の五分袖シャツを探していれば、店員が何十着も在庫を引っ張り出し納得がいくまで選んでもらいます。子連れのお母さんが来店すれば、ゆっくり買い物ができるようにと、店員が子守りをすることも。

連休の大売出しの日、ある青年が池田にやってきました。故郷鶴岡の高校を卒業後、埼玉に就職。帰省した折に池田で買ったYシャツをわざわざ持参してサイズ調整に来たのです。「小学校からずっとお世話になっていて、社会人になって初めて仕立てたスーツもここだった。またシャツを買うときはここで買いたい」と語ります。館内は昭和ムードが漂い、古びています。それでも長年、愛されているのはなぜなのでしょう。

七代目の池田督(ただし)社長(62)は言います。「ネットで何でも買える時代、ネットにはできないフレンドリーな接客がうちの特徴です…」

昭和50年代、南銀座池田には活気があふれていました。赤いタスキをかけて接客に奔走した父、商売人は5分で食事をとりなさい!が口癖だった母、そんな両親の姿が池田社長の脳裏に焼きついています。

昭和の頃に比べれば、七代目を継いでからの二十数年は、デパート業界の衰退と向き合う日々…。今年は創業170年の節目の年。しかしコロナ禍、物価高、電気代高騰、と厳しい経営が続きます。そんな時、池田社長の息子の提案で、ある企画が動き出します。

ネットで手軽に買い物ができる時代、老舗ミニデパートがずっと大切にしてきた“買い物の喜び”を見つめます。

編集後記

ディレクター:齊藤 正(プライド・トゥ)

昭和時代のチラシ

南銀座池田になぜ興味を持ったのか…。忌憚なく話すのなら、トイレがきれいだったからだと思います。

数年前に新居を構えた時、「せっかく手にしたマイホーム、いつもまでもキレイに使いたい」と思い立ち、自宅のトイレ掃除をせっせとするようになりました。

私は社員20名ほどの制作会社で働いていますが、館内のトイレ掃除は事務スタッフが行っていました。若い頃は取材と編集に追われ、正直な所、「掃除なんてやってる暇はない」という感覚でした。ところが家のトイレ掃除をはじめると、社内のトイレの汚れやゴミに、目が行くようになったのです。同じ目なのに一体何が変わったのか。自分でも不思議ですが、会社のトイレ掃除を少しずつやるようになったのです。

そんな時に出会ったのが、南銀座池田でした。館内に初めて足を踏み入れると、昭和の香りが残る古い佇まいでしたが、フロアやトイレに人の手がしっかり行き届き、美しく凛としていました。その時、ここで働いている人たちの心持ちに興味が湧いてきたのです。恥ずかしい話、数年前に来たなら昭和の郷愁という視線でしか見ることができなかったと思います。

番組の中で、エアコンを消した館内で汗をかきながら、池田社長とスタッフのみなさんが拭き掃除をする場面があります。「こういうお店こそ応援していきたい!」と日本のチカラを見た方が思ってくれて、南銀座池田のファンが増えてくれたらうれしいです。

番組情報

南銀座 池田

【住所】〒997-0034 山形県鶴岡市本町二丁目2-27
【電話】0235-22-0116
HPhttps://www.tsuruoka-ikeda.com
【営業時間】平日10:00~18:30日祝10:0018:00
【定休日】毎週木曜日 ※2Fお食事処『蝶や』定休日第2第4水曜日

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