#380 それでも歩き続ける 〜右手と両脚を失ったあの日〜

2024年04月27日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) テレビ朝日制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

今回の主人公・山田千紘(ちひろ)さんには右手と両脚がありません。11年前、当時20歳だった山田さんは仕事の疲れなどから、深夜に駅のホームから線路に落下してしまい、電車にひかれました。そして10日後、目が覚めたときには利き手だった右手と両脚を失っていました。

『人生が終わった』『消えたい』…三肢を失った現実を目の当たりにした瞬間、そう思ったといいます。しかし、献身的に支えてくれる家族の姿を見て、山田さんの気持ちは少しずつ変わっていきます。「元気になって恩返しをしたい」。自立するためリハビリにもポジティブに向き合い、1年半はかかるといわれた義足歩行を半年で自分のものにし、利き手である右手を失ったため、左手で文字を書く練習も毎日行いました。

たゆまぬ努力の末、事故から2年後には一人暮らしを開始。炊事、洗濯、掃除など、家事を全て一人でこなしています。さらに、7年前に一般雇用として入社した日本航空の関連会社に勤務しながら、日本各地で行われる講演会に参加。自身の経験を発信し、多くの人が前を向ける新しいきっかけを与えるべく、精力的に活動を続けています。2021年にはYouTubeチャンネルを開設、日常生活の様子や様々なことに挑戦する姿を発信。2023年には富士登山に挑戦し、見事登頂を果たしました。「三肢がなくてもこれだけのことができる」…自らの行動を通して伝え続けています。

32歳となった今年の春、最愛の人と“結婚”という新たな人生のステージへ…。

三肢を失いながらも、笑顔で今を生きる山田さんの姿を見つめます。

編集後記

ディレクター:山本翼(テレビ朝日映像)

20歳のときに電車に轢かれ、利き腕の右手と両脚を失ってしまった山田千紘さん。
明るい性格で、誰に対しても全く壁を作らず、かくいう私も初めて山田さんと顔を合わせた日の夜に、2人で夕飯を食べに行きました。前向きで、ポジティブな山田さんと取材を通して接する中で、もし自分が利き腕と両脚を失ってしまったらと考えたとき、山田さんのようにポジティブでいられる未来を想像できませんでした。

山田さんは三肢を失ってしまったことをマイナスではなく、左手の大切さに気づけたこと、目で見ることができ、耳で聞くことができ、口で話すことができることに気づけたことこそが大きなプラスだと言います。義足で会社や買い物に行き、片手で料理や掃除をする。山田さんは普通のことを普通にしているだけだと言います。
この「普通」の日常生活を過ごすために、どれだけの努力をし、どれだけの壁を乗り越えてきたのか。生きていく上で大切なことを教えてくれた、そして一歩踏み出す勇気をくれた山田さんに出会えたことは、私にとって人生の財産です。

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