#448 風になりたい ~違いが奏でるハーモニー~

2025年10月25日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 南海放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

愛媛県松山市。今、この町で人気の個性派楽団があります。ハーモニアス楽団。年齢も性別も職業も、障がいの有無も関係なし。入団条件は「音楽が好き」、それだけです。メンバーは32人、その約8割に障がいがありますが、それぞれ「自分ができる形」で「その人らしい音」を奏でています。

楽団が立ち上がって1年半。今では入団希望者が殺到し、一時受け入れをストップするほどに。楽団の公演やSNSを見た人からの公演依頼も増えてきました。立ち上げたのは、自閉スペクトラム症や書字障害などがある、団長の井門明日香(いどあすか)さん。きっかけは、明日香さんが生きていく中で感じた「社会の生きづらさ」でした。

障がいは社会にある…明日香さんの言葉です。明日香さんは2020年、広汎性発達障害の仁哉(じんや)さんと結婚。翌年、尚門(なおと)ちゃんを出産します。祝福されるはずだった人生の大きな節目。信頼していた人からかけられた言葉は、信じられないものでした。それでも明日香さんは自らの人生を肯定し、自分らしく生きることに向き合い続けます。

明日香さんの思いを体現するハーモニアス楽団。この夏、地元のプロレス団体のイベントで前座を務めることに。500人以上の観客の前で演奏する、初めての大舞台。直前練習では、リングという全く違う環境に、動揺を隠しきれないメンバーたち。はたして、演奏はうまくいくのでしょうか。

さらに迎えた秋の公演。障がいという壁を壊したい…。メンバーは自分たちの思いを“ある曲”に託します。個性派楽団を率いる明日香さんと仲間たちが奏でるハーモニー…その日々を追いかけました。

 

編集後記

ディレクター:清家 陸(南海放送)

障がいとは何か―。
今回、番組を制作するにあたり、私自身が向き合い続けた問いです。きっかけは、主人公の井門明日香さんがインタビューの中で語った、「障がいは社会にある」という言葉でした。これは、「心身機能に制約がある人たちにとって適応しづらい状況を、周りの環境や社会が生み出しているのではないか」という考え方です。自閉スペクトラム症、書字障害、解離性障害がある明日香さんが、現代社会を生きる中で感じているリアルな声だと思いました。明日香さんが感じる「障がい」とは一体何なのか、どの場面で感じるのか、この「見えない障がい」をどうすれば描くことができるのか…。そんなことを考えながら、ただひたすらカメラを回し続けました。番組ではハーモニアス楽団の中の明日香さんと、社会の中の明日香さんの表情から、何かを感じていただけたら幸いです。

そして、ハーモニアス楽団。楽器のほとんどを弾くことができる団長の明日香さんを筆頭に、自閉スペクトラム症の現役音大生や、3歳でサザンオールスターズの曲を弾き始めた男の子など、個性派揃いです。そんな楽団のいきいきとした演奏は力強さを感じます。個人練習では、それぞれのリズム、それぞれの弾き方で演奏していますが、合奏や公演で聞こえてくるのは、ひとつの音。まさに、違いが奏でるハーモニーです。

番組ラストの演奏曲「風になりたい」にはみんなの思いが詰まっています。番組のタイトルも「風になりたい」です。実は最後の最後まで悩んでいましたが、この演奏を聴いた瞬間に私の心にストンと落ちるものがあり、このタイトルにしたという経緯があります。この作品の放送後には、ちょっとした違いを認め合い、自分らしく生きることを肯定できる優しい気持ちであふれていることを願っています。

番組情報

ハーモニアス楽団
【メール】harmonious1225ehm@gmail.com

ご意見・ご感想

皆さまからのご意見・ご感想をお待ちしております。
お寄せいただいたコメントにはすべて目を通しておりますが、必ずしも掲載されるものではございませんのでご了承ください。
記入欄に、お住まい(都道府県)もご記入いただければ幸いです(任意)。

 

※ 企画提案・商品宣伝・イベント告知等に関する投稿は、固くお断り申し上げます。