#452 結いの手仕事 ~大島紬(おおしまつむぎ)の未来

2025年11月22日(土) 05:20~05:50 (テレビ朝日 放送) 南日本放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

鹿児島市内にある「奄美の里」…南国の樹木や花々が織りなす緑豊かなガーデンが広がります。奄美群島で作られる伝統工芸品「大島紬」の製造工程を見られる工房に、レストランや庭園も併設。奄美の自然や文化に触れられるスポットです。
世界三大織物にも数えられる大島紬は、およそ40の工程から緻密な柄を描き出します。日本を代表する絹織物として1970年代には生産量のピークを迎え、その技術力が注目されていますが、昨今の着物離れや後継者不足で生産量は激減。
1929年に奄美大島で創業し独自ブランドを生み出してきた「藤絹織物」は、時代の変化の中で、大島紬の技術と価値をどうつないでいくか、日々挑戦を重ねています。

この道50年の上村和己さん(75)は、図案やデザインの担当から、大島紬の洋装品の制作へ自らの技術を広げてきた職人。なにより「新しいものを作り出すことが好き」だといいます。分業制の工程の中、織り機の扱いを学び、新たな時代を感じさせるネクタイやバッグを生み出しています。鋭い目線が向かうのは、1本の糸と常にアイデアを書き留めるノート。長年紬と歩んできたからこその感覚と思いがあります。

社長の藤陽一さん(51)は施設として目指す未来を模索、「奄美の里Re-bornプロジェクト」で「奄美の文化の発信」を掲げました。コロナ禍の影響を受けた併設のレストランや結婚式場でも「奄美」と「大島紬」をつなぐ企画や試みが始まっています。

1本の糸に綿密な色付けがされ、縦糸と横糸が交わってひとつの柄になる大島紬。「結い」の思いで紡ぐ、大島紬の未来…職人たちの日々を追いました。

編集後記

ディレクター:布袋貴代江(南日本放送)

リズミカルに響く手織り機の音。以前はもっと賑やかだったといいます。たびたび織りを止めては、糸を手繰り寄せ柄にズレがないかを確認。「一反(着物一枚分)を織り上げるのに半年から一年…」聞いて驚きました。それほど、大島紬は精緻な織物です。

 以前は手描きだった図案をパソコンで描く75歳の上村さんは、この道50年。時代の変化を目の当たりにしてきました。着物としての価値をつないできた大島紬を、より身近に、暮らしを彩る存在へ…斬新なデザインの小物やネクタイ、ストールを提案。紬の糸をカシミヤと織り上げるなど新たな発想を形にしています。後継者不足がいわれる中、工房には新たな職人が加わりました。糸1本へのこだわりを伝える日々です。

 機織りを結婚式に取り入れるなど、さまざまな形で大島紬の発信を目指す「奄美の里」。伝統工芸のこれからをどうつないでいくか…多くを語らぬ上村さんは、ことあるごとにノートを取り出しサラサラとペンを走らせます。「(アイデアは)どこかに転がっている」。根っからの職人、静かな気概と確かな手仕事をこれからも見続けたいです。

番組情報

奄美の里
【電話】099-268-0331
【HP】https://www.amaminosato.jp
【インスタグラム】@amaminosato
【住所】鹿児島市南栄1-8-1

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