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大堀相馬焼は、福島県浪江町の大堀地区で、江戸時代から約300年続く伝統工芸品です。特徴は、焼き物全体に広がる『青ひび』、力強い『馬の絵』、保温効果があるとされる『二重構造』。縁起物として贈り物としても人気があり、大堀相馬焼は地域を支える産業でした。
しかし、2011年3月の東日本大震災、そして福島第一原発事故の影響で、大堀相馬焼の産地・福島県浪江町大堀地区は、帰還困難区域に。約20軒ほどあった窯元は、避難を余儀なくされました。そして何年も人が帰らないうちに、大堀地区は草木が伸び、荒野となってしまいました。
震災から13年が過ぎた2024年、国が大堀地区での伝統産業の再開を許可し、帰還したのが、陶吉郎窯の近藤学さん、71歳。「崩壊した大堀相馬焼の産地を、もう一度、再構築する」と語り、残りの人生をかけて、大堀地区に10軒以上の窯元を自立させようとしています。
再構築に欠かせないのが、若い後継者。近藤さんは帰還後、浪江町や福島県に協力を求め、大堀相馬焼の後継者インターンを実施しました。全国からの応募者は約60人。その中から2人を弟子第1期生として、2025年春、迎え入れました。
福島県郡山市出身の伊藤礼香さん24歳(取材当時)と、神奈川県平塚市出身の青木映真さん22歳(取材当時)。それぞれ大学・大学院を終えてすぐの弟子入り。社会経験もなく戸惑う日々ですが、「大堀で自分の窯を持つ」という大きな夢に向かって、1歩1歩前進する毎日です。
荒野からの再始動。大堀の地で伝統をつなごうと奮闘する師匠と弟子を追います。
編集後記
ディレクター:長谷川 由佳(福島テレビ)
近藤さんと初めてお会いしたとき、「この場所で、大堀相馬焼を再構築する」と話す近藤さんの強く熱い思いが、痛いほど伝わってきたことをよく覚えています。
そんな師匠、近藤さんの元に弟子入りした、福島県郡山市出身の伊藤さん(24歳)と、神奈川県平塚市出身の青木さん(22歳)。私は26歳で、2人と年齢が近く、出身地である福島市で仕事をしているので、最初に「なぜ2人は、地元ではないこの場所で窯元を目指すのだろう」と疑問に思いました。取材を進める中で、2人から感じたのは、近藤さんがいるからここにいる、近藤さんのようになりたい、という、近藤さんに対する憧れでした。そして、「ここで窯元をやるんだ」という、2人の強い気持ちがとても印象的でした。。
自分のもとに思い切りよく飛び込んできた2人に対し、近藤さんは「ある意味、自分が、2人の人生を背負っている」と話します。毎年弟子を受け入れ、大堀地区に10軒の窯元をつくりたいという近藤さんのビジョン。その裏には、弟子たちの人生を背負う覚悟が滲み出ていました。
弟子の人生を背負い、自分が学んだものを全て教えようとする師匠と、自分の師匠がいる、一度は荒野となった場所で窯元をやりたいという2人の弟子。そして、そんな近藤さんと2人を見て、自分も弟子になりたいとやってくる若者たち。来年度以降の弟子(2期生)を募集するためのインターンシップを取材し、憧れの連鎖が目の前で生まれるのを、肌で感じました。
少子高齢化が進む中、伝統工芸品の伝承は課題の一つとなっています。皆さんの身の回りにある守りたいものを、大切にするきっかけになったら嬉しいなと思います。
番組情報
大堀相馬焼 陶吉郎窯
大堀工房
【所在地】福島県双葉郡浪江町大堀字後畑98-1
【電話】090-2604-9890
いわき工房
【所在地】福島県いわき市四倉町細谷字水俣75-17
【電話】0246-38-7855
【HP】https://www.toukichirougama.com/




