世界文化遺産に登録され多くの人が訪れた日本の最高峰、富士山。その登山客の疲れを癒す山小屋の定番メニューといえばカレーライスですが、低い気圧や食材の確保などの問題から、レトルトカレーの使用が主流となっています。そんな中、登山客を虜にするカレーライスを出す山小屋があります。富士宮口五合目から登ること一時間半、新七合目の御来光山荘です。
御来光山荘のカレーライスの人気の秘密は、なんと手作りであるという点です。調理担当の赤池眞奈美さんが腕によりをかけて作るカレーライスは正にお袋の味。ジャガイモやニンジンなどがごろごろ入ったルーは富士山で作られたとは思えないおいしさです。それでも標高2780mの高さでの調理は容易なことではありません。それにも関わらず、どうして手作りにこだわっているのでしょうか。
実は御来光山荘を営む赤池さん一家は富士宮市の農家でもあるのです。山小屋を営む夏以外は、米、ジャガイモ、タマネギ、ニンジン、お茶など、さまざまな農作物を作っています。地元で取れた米や野菜を富士山でも味わって欲しいとの思いから、山小屋で自家製食材を使ったカレーライスを出しているのです。今年6月下旬、ついに世界遺産への登録が発表され、忙しい富士山の夏が始まります。そんな中、常におもてなしの心を忘れない赤池さん一家に密着しました。
編集後記
ディレクター:雨森 健一
2780mの高さに位置する新七合目の御来光山荘は、高すぎず、低すぎずちょうど良いという方が多くいらっしゃいました。体を高地に慣らしながら山頂を目指すには、五合目と頂上の半ばに位置するこの山小屋で一泊するのがうってつけなのだそうです。そして疲れて登ってきた体に、温かな食事はなんとありがたいことでしょうか。それが手作りであればなおさらです。カレーライスの他にも、やきそば、チャーハン、玉子丼など、調理を担当する眞奈美さんの料理の数々はまさに絶品。枝豆や茹で落花生もあるので酒のつまみにも事欠きません。世界遺産登録で逆に敬遠して登らなかったみなさんも、のんびりと挑戦してみてはいかがでしょうか。