#59 富士北麓 伝統のこんぶ料理~めまき~

2014年8月24日(日)(テレビ朝日 放送) 山梨放送制作  協力 文部科学省

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富士山の北麓、富士河口湖町。手前に河口湖、その向こうには世界文化遺産・富士山がそびえます。
河口地区の中心に鎮座する河口浅間神社は、貞観6年(864年)に起こった富士山の大噴火を鎮めるために創建された歴史ある神社です。 祭神は富士山の女神・木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。

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河口地区はかつて神社を中心として「御師の街」として栄えました。御師とは富士山へ信仰登山する参詣者に宿を提供し、祈祷を行った神職者。江戸時代の最盛期には140軒もの御師の家があり、古くから富士山との関わりの深い地域です。その河口浅間神社の春の例大祭で、氏子の家庭で作られる料理が「めまき」。川魚をアラメという昆布で、二等辺三角形に巻き、甘辛く煮ます。海のない山梨県でこんぶの料理というのもたいへん珍しいのですが、形の由来は「木花開耶姫」「侍」「産着」「富士山」と家庭によって様々。年に一度、しかも河口地区の一部の家庭で作られる料理なので、山梨県民でも知る人ぞ知る存在です。

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春の足音が聞こえると、地域のお母さんたちは「めまき」のことが気になりだします。地域の商店にはアラメ昆布、鮮魚店にはめまき用の魚が並びます。かつては河口湖の小魚を使っていたようですが漁獲量の減少もあり、今一番人気はなんと「サバ」なんです。春祭りは「めまき祭り」とも言われるほど、地域で大切にしてきた郷土食。ですが、アラメは硬い昆布なので、魚を巻いてから3日程煮込まなくてはなりません。最近は手間がかかるので作る家庭が減っているのも事実。そんな中、お母さんたちが子や孫に伝統料理「めまき」を伝えます。初めて「めまき」作りを体験したお嫁さんは、その手間のかけように驚くばかり。でも、みんなで「めまき」を作る光景はとても楽しそうです。

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「めまき」・・・そこには富士山とともに生きてきた人々の心・地域をつなぐ、
大切なものが残されていました。

編集後記

ディレクター: 依田 司(山梨放送)

春祭り当日、「家の“めまき”はおいしいよ!」と、各家庭自慢の「めまき」をいただ
きました。さっぱり味、こってり味、また芯の魚によって、「めまき」の味は千差万別
で、それぞれとてもおいしかったです。本当にごちそうさまでした。
この地域に住む人々の多くが、毎朝、富士山を眺めます。よく見えると元気になったり、
曇って見えないとちょっと残念な気分になったりと、毎日の生活の中に富士山がありま
した。富士山とともに生きる喜び、そして誇りを感じました。
「めまき」の二等辺三角形には諸説ありますが、「朝な、夕なに眺めているから、結局、
富士山のようになるんだよ」というお母さんの言葉が印象に残ります。
最近は作るお宅が減っている「めまき」ですが、これからも、地域のお母さんたちによ
って伝えられることでしょう。
富士河口湖町、春の風物詩「めまき」もいつの日か世界遺産に!

最後になりましたが、富士河口湖町の皆さん、ありがとうございました。

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