#58 昔ながらの島の小さな食堂 ~瀬戸内・祝島~

2014年8月17日(日)(テレビ朝日 放送) 山口放送制作  協力 文部科学省

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山口県上関町祝島。ここには練塀と呼ばれる島独特の漆喰の壁に囲まれた食堂があります。
そこでは、井戸水を使い、薪を使って釜でご飯を炊きます。
広島の町から離島へ移り住んだ”タカちゃん”こと芳川太佳子さん。島の豊かさに惹かれ、4年前に食堂を始めました。
「島の山や畑、海には食材がたくさんあるから食べ物に困ることがない。食が豊かということは、島が豊かな証拠です。その島の豊かさを知ってほしい」

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瀬戸内海に浮かぶ祝島は自給自足の暮らしをしています。冬はヒジキを、夏にはタコの足を天日で干します。1年中食べ物に困らないようにする先人たちの知恵です。タカちゃんの食堂「こいわい食堂」は、そんな島の食材を使った地産地消の食堂です。祝島の近くにある「小祝島」から名付けました。

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食堂にはお客さんだけではなく、島のじいちゃん、ばあちゃんもやってきます。
「山から採ってきたキクラゲあげよう」
「ビワはカメラマンにあげなさい」
島の”おすそわけ”です。町から来たタカちゃんを待っていたのは、肩を寄せ合いながら生きてきた島の近所づきあいでした。タカちゃんは”おすそわけ”で島の人の温かさを知りました。
「島の人みんなに支えられている食堂です」。

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“こいわい定食”には島の魅力を詰め込みました。献立は手書きにしています。「タミちゃんが山で採ってきた三つ葉」
「一本釣りまーちゃんの鯛」
野菜を作り、魚を獲った島の人の名前も一緒に書きます。みんなへの感謝の気持ちも込めました。
お客さんに伝えるのは、島の自然、離島ならではの暮らしの知恵、島の温もりです。

昔ながらの小さな島の食堂には”豊かさ”が詰まっています。

編集後記

ディレクター: 青木伸憲 (株)KRYプロモーション

人口は減り、少子高齢化が進む日本。さらに、地方から都市部への人口流出が続くと、やがて大半の市町村が消滅の危機に瀕するといいます。確かに都市部は、流行りのお店や最新の娯楽施設があり公共交通機関も発達しているため便利で、楽しく暮らすこともできます。もちろん、24時間営業のお店もあり、いつでもどこでも何でも買えます。
そんな時代に、町を離れ島で食堂を始めたタカちゃん。島にはコンビニエンスストアも流行りのお店もありませんが、島の暮らしは町より豊かだと言います。
“薪を使って大釜で炊いたヒジキを天日で3日間干すと絶品!” “海水を使って魚をさばくと、身が締まって美味しい!” “釜戸でご飯を炊く時は、最初から強火にすること!” など島のじいちゃん、ばあちゃんに聞いた暮らしの知恵を学ぶ日々は、タカちゃんにとって発見の連続であり、それが喜びになっていました。
手間をかけることを惜しまず、昔ながらの方法を大事にするタカちゃんの暮らしを見つめていると〔“豊かさ”=“便利さ”〕ではないのかもしれないと感じました。「豊かに暮らすこと」について考えさせられた取材でした。

番組情報

◆こいわい食堂
【電 話】0820-66-2231

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