
津軽平野にそびえる岩木山。その森の中に、ひっそりと佇むパン屋さんがあります。
ここには調理パンや菓子パンはありません。並んでいるのはおかずと一緒に食べる素朴な「食事パン」です。そのパンは、自家培養の天然酵母から作られています。焼くのは手作りの石窯。石窯の中には耐熱煉瓦が貼ってあり、遠赤外線効果で、
外側はカリッと、内側はもちっとしたパンが焼けるのです。
ご主人は言います。「あれも入れない、これも入れないという引き算のパン屋なんです。」
ある日、二人はいつもよりたくさんのパンを焼いていました。東京のデパートの催事に1週間出店することになったのです。果たして山の中で夫婦が作ったパンは、受け入れてもらえるのでしょうか?
岩木山麓でこだわりのパンを焼く夫婦に学びます。

編集後記
ディレクター:小山田文泰(青森放送)
野風パンは県内でも知る人ぞ知る(不便な場所にあるので目立たない!)、こだわりパン屋さんです。しかし取材してみるまでは、ここまで手間のかかるものだとは思ってもみませんでした。天然酵母を自家培養し「液ダネ」を作るのに4日間。それを全粒粉に入れて小麦粉を足し、「元ダネ」を作るのに4日間。それからやっとパンの形を作っていきます。温度センサーのない石窯も全て感覚の世界。この工程を見てしまうと、少々お高くても仕方がないと思えてきます。
野風パンの暖簾には「わんつか(少し) かでぇくて しねェくて(噛み切りにくくて) すっぺェパン」と書かれています。その一方で、「自然に寄り添い、手間暇を惜しむ事なく、心を込めたパン」でもあります。ご覧いただいた方に、夫婦のパンに込めた思いが伝われば幸いです。
番組情報
◆野風パン
【住 所】青森県弘前市大字百沢字東岩木山1205-2
【FAX】0172-83-2082
【HP】http://yafu-pan.com
【メール】iwakisan@yafu-pan.com
【営業時間】9:00~17:00
【定休日】毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合は営業し、翌日の火曜日が休みになります)