#68 南の島の食の風景 ~沖縄・ケラマブルーの島に生きる~

2014年11月2日(日)(テレビ朝日 放送) 琉球放送制作  協力 文部科学省

shokukikou68-1.jpg沖縄本島・那覇の西、40キロに位置する慶良間諸島(けらま・しょとう)。ケラマブルーとよばれる透明度の高い海に、美しいサンゴ礁。豊かな生態系を育む自然は、国立公園にも指定されています。

shokukikou68-3.jpgこの慶良間諸島の島の一つ、慶留間島(げるまじま)は、人口60人のとても小さな島です。島中の人が、まるでひとつの家族のように暮らすこの島には、飲み物の自動販売機が1台あるだけで、日用品を扱う商店などは一切ありません。食べる分の野菜を育て、目の前の海で魚をとる。昔ながらの食の風景が、暮らしに息づいています。

そんな慶留間島に、3年前から営業をスタートさせたレストランが…。

shokukikou68-2.jpg店の名は、「トラットリア バール・慶留間gnon(げるまによん)」。オーナーシェフは、熊本生まれ大阪育ちの前田正樹さん(まえだ・まさき)さん(40)。島の海産物と自家栽培の野菜を使ったイタリア料理の店で、全国各地から、お客さんが訪れます。前田さんの作るイタリアンのベースとなるのが、島在来のにんにく・島にんにくと、スクガラスです。 スクは、アイゴの稚魚を塩漬けにしたもので、アンチョビに似た味。年に一度、夏の大潮の時期に島に寄ってくるため、島の人は、海からのボーナスと呼んでいます。スクがくる大潮の日は、島中の人が、海でスクがくるのを待つ光景がみられます。

shokukikou68-4.jpg美しいケラマブルーの島で育まれた食の風景を通して、自然に寄り添いながら生きる人々の知恵を学びます。

編集後記

ディレクター:比嘉 チハル(フリー)

慶留間島にレストランができたと聞いた時、私は、失礼ながらも「商売として成り立つの?!」と驚いてしまいました。慶留間島は、ダイビングで人気の阿嘉島と橋でつながっていますが、沖縄県民でさえ「どこにあるの?」と尋ねるほどで、観光客はほとんど訪れない島だったからです。そんな環境の中で、3周年を迎えたゲルマニヨン。店主の前田さんは「この島にきて何一つ、自分ひとりでやりきったことはない」と話します。クワの持ち方から、店づくり、食材の確保に至るまで、島の人々が全面的にバックアップ。島唯一のレストランは、地域の強い絆があるからこそ、成り立っていると思います。
実は、当初、この番組のメインで考えていたのは、島に年に一度寄ってくる魚“スク”の漁と、伝統的なスク料理でした。しかし今年、全くスクがとれず、3日間スタンバイしていた撮影班は落胆。一方、島の皆さんは、「こんな年もある。自然相手だから仕方ない」と、意外にもあっさりとした反応。度重なる台風の接近で、船が数日間欠航しても動じません。今、島にあるものを活用して暮らす皆さんの姿に、自然とともに生きる知恵を見つけた気がしました。

番組情報

◆トラットリア バール 慶留間gnon(げるまによん)

【住所】〒901-3312 沖縄県座間味村慶留間54番地
【電話】098-987-2650
【営業時間】ランチ 12:00~17:00/ディナー 19:00~23:00 ※要予約
【メール】gerumagnon@gmail.com
【ホームページ】http://gerumagnon.wix.com/gerumagnon

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