#73 60年ねかせたご当地ラーメン ~鳥取牛骨ラーメン~

2014年12月7日(日)(テレビ朝日 放送) 山陰放送制作  協力 文部科学省

shokukikou73-1.jpg全国一、人口が少ない県、鳥取県。そんなのどかなこの土地で、60年以上ひっそりと愛され続ける地味~な、ご当地ラーメンがあります。その名は「鳥取牛骨ラーメン」。トンコツでもトリガラでもなく、ウシの骨、”牛骨”スープがベースのラーメンです。その味は、牛ならではの香ばしさと甘さがほんのり広がる、まさに”のどかな”風味。懐かしさもありながら、初めて食べる人には驚きも与える、そんな不思議なラーメンです。
県内60以上のお店で提供されていて、こうした地域は全国的にもまれ。まさに鳥取県独自の食文化。さぞや地元では有名で…かと思いきや、地元では、お店の人もお客さんも「牛骨ラーメン」を特別な存在と知らず、つい最近まで「ただのラーメン」としか認識していなかったのです。

shokukikou73-2.jpgそのことが世に知られるようになったのは、わずかに4年前のこと。きっかけは、「牛骨ラーメン」を鳥取県のご当地グルメに育てようと、有志の市民グループが「応援」ならぬ「応”麺”」団を結成したことでした。そしてその応援団長は、なぜか僧侶。しかも、”日本一危険な国宝”といわれる、築1000年の建造物を有する古刹の一門だったのです…!

shokukikou73-3.jpgラーメン自体はもちろん、お店それぞれに、歴史や味わいがあるのが「鳥取牛骨ラーメン」の特徴です。
戦前から3代にわたって続くある町の食堂では、牛骨ラーメンはあくまで、定食、オムライスなどと並ぶメニューのひとつ。それがブームとともに全国からお客さんが押し寄せることになり、75才のご主人は大忙しに。さらにその息子たちは、地元を飛び出し、東京へ。そして海外へ進出…!
麺といえば、うどん・そばが主流だった戦後まもない頃。ある製麺所では、その当時まだ珍しかったラーメンの生麺を売るために、製麺屋さん自ら、飲食店に牛骨スープの作り方もおしえてまわったといいます。その製麺屋魂をいまに受け継ぐ、牛骨ラーメン店の主人が目指すものとは…?

そもそも鳥取県で、なぜ”牛骨”のラーメンが普及したのか。その背景にある、鳥取で先祖代々続く、人と牛との深いつながりとは?
たかがラーメン、されどラーメン。60年間しっかり寝かせた?いや、寝たままだった?!”鳥取牛骨ラーメン”の歴史と文化に学びます。

編集後記

ディレクター:八幡 真和(山陰放送)

私自身、生まれも育ちも鳥取県。子どもの頃から食べていたラーメンがまさに「牛骨ラーメン」でした。しかし、番組で語られているのと同じく、それが全国でもまれな“ご当地ラーメン”だということはまったく知りませんでした。

名前が生まれて4年。「鳥取牛骨ラーメン」の現在の立ち位置としては、(あくまで私個人の見解ですが)ラーメンファンには注目を集めるも、「尾道」「和歌山」といったご当地ラーメンと比べると、世間的な認知度はまだまだ、といったところです。
ご当地グルメの開発を全国の地方が目の色変えてやっているなか、「昔からあった」食文化で、しかも「ラーメン」という願ってもない素材!なのに、人口最少県ゆえの売り込み下手なのか、独自性にピンとこないまま謙遜しているのか、地元の人が一番のほほんと構えている。しかし、そんな「トホホで地味な」ところこそ、流行にながされない、地に足ついた、愛すべき鳥取の食文化の姿ではないだろうか。その“トホホ”に光をあてた番組にしよう!その思いで制作にあたりました。
ただそれを、どうやって取材して、どうやって映像に表現したらいいの?企画書を書いている時から編集中まで、その課題が頭をもたげました。また、県内60軒以上のお店の中からどこを取り上げればいいのか。これも大きな悩みでした。1店に絞って60軒分の特徴を代弁させるのも無理があるし、あれもこれもでは30分には収まらない。その答えは自分で探すしかありません。ひたすら食べ歩き、事前調査を重ねました。ここと思った店に取材を断られもしました。
そうするうちに、鳥取県の歴史や地域性など色々なものが見えてきました。そうやって発見した自分なりの“鳥取牛骨ラーメンとは何か?!”を、今回の番組の中に詰め込んだつもりです。じっくり味わって頂ければ幸いです。

ちなみに個人的な話ですが、亡くなった私の祖父はラーメンが大好物でした。祖母によれば、サラリーマン時代は毎日のように出前をとって食べていたそうです。それが番組に登場する「南風荘(まるいち)」だと知ったのは、先日、祖父の七回忌を終えたあとのこと。取材先さがしに悩んでいた孫に、「ワシが食べとったラーメンがあるがな」とおしえてくれたのかも?!放送が終わったら、仏壇にラーメン供えようと思います。

番組情報

◆鳥取牛骨ラーメン応麺団
【公式ホームページ】http://gyukotsu.net/

◆香味徳 赤碕店<
【住所】鳥取県琴浦町赤碕1979
【電話】0858-55-0003
◆香味徳 銀座店
【住所】東京都中央区銀座1丁目13-6
【電話】03-3561-5190
◆まるいち
【住所】鳥取県米子市淀江町小波1034-2
【電話】0859-56-3737

◆味もり多
【住所】鳥取県北栄町江北
【電話】0858-36-3108

◆ラーメン幸雅
【住所】鳥取県倉吉市山根583-2
【電話】0858-26-7288

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