#222 しまのリトルダンサー

2020年7月4日(土)[テレビ朝日 放送] 南海放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

舞台は瀬戸内海に浮かぶ、愛媛県・大島。かつて漁業や石材業で栄え、今はサイクリングブームで世界から注目される島です。しかし、島民の4割は65歳以上、人口もピーク時の2分の1まで減り、過疎高齢化が進んでいます。そんな島に元気な場所があります。「ちゃぼとひよこしまなみ」。

子どもの発達を支援する施設で、未就学児童~高校生までが通っています。教室の中はいつも賑やか。黒板にマジックで得意の絵を描いている子、自作曲をずっと歌っている子、そして、みんなが遊んでいるのに一人だけ寝ているマイペースな子・・・と、ここには個性豊かな子どもたちが集まります。

去年、この施設に一人の先生がやってきました。苅田義矢さん27歳。保育士でも教員でもない苅田さん。何を買われたかというと・・・「ダンス」。コミュニケーション能力や認知能力の向上を目的に全国の小中学校で必修科目となっているダンス。「ちゃぼとひよこしまなみ」もその教育効果に注目し、「ダンス療育指導士」の資格をもつ苅田さんに声を掛けました。

クルクルと身体を回転させるブレイクダンスというジャンルのダンスを得意とする苅田さん。県内のダンス大会で優勝したこともある実力です。今ではステージの上で自信満々に踊る苅田さんですが、実は自身の生い立ちから周囲に疎外感を感じ、心を閉ざした過去がありました。自分の意見をうまく伝えられない・・・否定されるのが怖い・・・・。そんな苅田さんを変えてくれたのがダンスでした。ダンスの世界では見ている人にいかに印象を与えられるかが勝負。ダンスに出会って、これまで引け目に感じていた「自分の個性」に自信を持ちました。

苅田さんが今向き合っているのはハンディキャップを抱えた子どもたち。彼がダンスを通して子どもたちに伝えたいこととは?「個性」っていったい――――?小さな島で踊る、リトルダンサーたちの物語です。

編集後記

ディレクター:楠目厚人(南海放送)

フィリピン人のお母さんと日本人のお父さんを両親にもち、加えてダンスが達者。まるで某ダンスボーカルグループのリーダーを思わせる苅田さん。「若者」が「ダンス」と聞くと、どことなく近寄りがたいイメージを抱かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、苅田さんからは一切その風を感じません。ひと目でわかる好青年です。そんな彼が、障がい者教育の現場に身を置き、自分の武器である「ダンス」でその道を切り開こうとしていました。

取材初日、まずは子ども達との距離を縮めようとカメラは持たず、「遊んでくれるお兄ちゃん」として施設に入りました。砂場遊びにかくれんぼ、給食を食べたら鬼滅の刃ごっこと、元気いっぱいの子ども達。ちょっと目を離すとケンカ、そしてお漏らし。先生は大変だなぁと実感する一日でした。そして翌日、教室に設置していた定点カメラを子どもが見つけ、教室中大騒ぎに・・・いつになったら撮影を始められるのだろう・・・と泣けてきました。撮影期間が限られている中で焦りも募りましたが、思い返すとこの期間に子ども達の「個性」をたくさん知れたことで番組の土台を築くことができました。

1週間程経って子ども達もカメラに慣れ始めた頃、ある出来事が起こります。その子は自分の気持ちを伝えるのが苦手で、苅田さんの問いかけに一切反応しません。苅田さんが何度話しかけても、顔すら向けてくれません。この施設では何気ない日常の風景かもしれませんが、カメラを回すのをためらう緊張感を感じました。いつもの賑やかな教室のその一点だけ、苅田さんとその子の二人の時間が流れていました。私は、なんの確証もありませんでしたが、残された1ヶ月はこの子と苅田さんを追い続けることにしました。
その一ヶ月が今回の番組です。
ぜひ一緒に2人を見守っていただければと思います。

番組情報

学校法人今治普門学園 ちゃぼとひよこしまなみ
【住所】愛媛県今治市宮窪町2993-1
【電話】0897-72-8881

ご意見・ご感想

皆さまからのご意見・ご感想をお待ちしております。お寄せ頂いたコメントには全て目を通しておりますが、必ずしも掲載されるものではございませんのでご了承ください。
※記入欄に、性別・年齢・お住まい(都道府県)もあわせてご記入ください(任意)。