#15 月の山のごちそう ~山菜保存の知恵~

2011年8月14日(日)(テレビ朝日放送) 山形放送制作                              協力 文部科学省

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山形県のほぼ真ん中に位置する「月山」は、真夏まで雪が残る豪雪の山です。この豊富な雪は特別な「山の恵み」を里人にもたらします。この山の恵みを一年間おいしくいただく名物料理が月山のふもと・西川町にありました。山菜たっぷりの鉄鍋に冷たいおそばをつけた「月山山菜そば」です。そこには、豪雪地帯に生きる保存の知恵ともてなしの心が凝縮されていました。驚くほど手間暇がかかる「天日干し」のゼンマイ。冬への備えとして当たり前の「塩漬け」。

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また、月山を代表する山菜「月山筍」の旬のおいしさを一年間封じ込めた「水煮」の瓶詰め。これらは冬への備えであり、山を訪れる人へのもてなしのためでもありました。月山は山岳信仰の地・出羽三山の主峰。登拝口には参拝者をもてなすために山菜料理が磨かれてきた歴史がありました。12年に一度の卯歳御縁年を迎えた月山と里人たちの食文化に学びます。

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◇ディレクター:鈴木 啓祐(山形放送 東北映音)◇
番組で取り上げた「月山山菜そば」は、私もかつて初めて食べた時は「これ一人分?」と山菜やきのこの種類や量に驚いたものです。取材した県外の観光客の反応・驚きと同じでした。山菜はもちろん旬の味を楽しむのが第一。短い旬の時期におひたしにしたりてんぷらにしたり。月山山菜そばも旬の山菜やきのこを使うことをそれぞれのお店が第一の「売り」としています。ですから、取材で訪れるたびに同じ店でもその中身は変わっていました。しかし、その「旬のもの」を補う形で使われていたのが「保存のもの」であり、それを使うことで味にも深みというか、こくというか、独特な味が出るそうです。いわば「月山山菜そば」という名物料理を支えてきた名脇役であり、あえてその「保存のもの」に「学び」を感じ、着目してみました。実際にそこには冬が終わってすぐ、次の冬に向けて準備を始める豪雪地で暮らす人々の姿があり、一年間よりおいしく味わうための先人の知恵と時代に合わせ進化した知恵がありました。東日本大震災で山形県は直接の大きな被害はなかったものの、町中が真っ暗となった夜を過ごしたうえに、何日もガソリン・灯油が手に入らなくなり、スーパーマーケットの棚からしばらくの間、食料品が消えるという光景が続きました。そういう意味でも食の「保存」は大切なテーマと感じています。
今回の取材を通し私は、雪を頂き日々変化する神々しい月山の姿を何度も拝むことができたうえに、十数年ぶりに月山山頂にも登ってきました。まだまだお見せしたかった月山の映像があるのですが・・・。雪がもたらす月山の恵みを肌で感じ、魅力に引き込まれた取材でした。

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東日本大震災の影響で山形はいま、訪れる人が減っています。出羽三山の主峰、月山はことし「卯歳御縁年」。ご利益が多い年とされていて登頂して月山神社を参拝すると、ことしだけの登拝証ももらえます。山は9月中旬まで。もちろん山頂までいかなくとも十分に魅力を感じることができますし、秋になると今度はきのこが満載です。ぜひ一度、月山山菜そばと神秘的で涼やかな月山を楽しんでみていただければと思います。

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◆冬の備えは春から始まる◆

◆お客様の喜ぶ顔が見たくて一生懸命がんばっています◆

◆番組でご紹介した情報◆

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■山菜料理 出羽屋
【住所】山形県西村山郡西川町間沢58
【電話】0237-74-2323

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■月山の宿 かしわや
【住所】山形県西村山郡西川町志津4
【電話】0237-75-2223

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■やまろく食堂
【住所】山形県西村山郡西川町間沢309-9
【電話】0237-74-2169

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