鳥取県倉吉市に本社を置くハンドバッグ企画販売製造会社「バルコス」は東京の大手百貨店をはじめ全国の多くの百貨店で商品が取り扱われ、海外のショールームでも商品展開するグローバルメーカー。会社は社長の山本敬さんが20代後半に、中学高校と過ごした倉吉市で起業。「倉吉が好き」だった山本社長、ここで何ができるかを考え、高付加価値のハンドバックに目を付けた。
今では東京をはじめ、イタリア・フィレンツェにも支店を持ち、ミラノやフランスでの国際展示会にも出展し上位入賞。今年9月には日本ブランドとして初めてイタリアの大手百貨店に出店した。
世界で躍進するバルコスだが、山本社長は「若者が定住すれば町の活性化にもつながる」と人材集めにも積極的。人口5万人足らずの小さな町から世界に挑戦するそのチカラに迫り、人口減少に歯止めのかからない地方で活躍するヒントを探る。
編集後記
ディレクター:齊尾 和之(山陰放送)
バルコスの山本社長は初めて会った時からある種の‘つき抜けた’感を感じさせる人物でした。番組は社長を軸に番組を構成しようと思っていたのですが、バッグの製造は基本的に海外、山本社長は倉吉市の本社には週の半分いるかいないか。勢いのある会社ではあるのですが、映像を含めてどう見せようか悩みました。しかし個性豊かな社員の皆様、新たなコンセプトを目指し立ち上げたオリジナルブランドのバッグを作る日本でも有数の技術を持つ職人さん、そして取材開始後にイタリアの大手百貨店に日本ブランドとして初出店する打診が先方来た話が入ってきました。結果的には、倉吉新のどかな風景、東京の百貨店に、昔ながらのバッグづくりの現場、イタリアの映像と映像的には色々な場面が入れ込むことが出来ました。
伝えたかったポイントは小さな町にある一中小企業でも、発想と行動力で世界でも高い評価を受けるまでに成長できるということ。実家の6畳間から始まった会社がドイツの大手バッグブランドの総代理店契約、昭和型商売からの脱却、トレンド収集のためのイタリア支店設立、商品をより良いものに仕上げるために立ち上げた中国の自社サンプル工場と、業界の動向と時勢を踏まえ、山本社長が都度に決断したことが功を奏し、ここまで駆け上がってきた。そこに成功のヒントがあるのだと思います。
そして、山本社長の倉吉へのこだわり。イタリアの抜けるような青空のもとでも「倉吉に早く帰りたい」、世界でハンドバッグといえばバルコスと言われたいけど「倉吉はあまり離れたくない」多感な思春期を過ごした倉吉の風土が根っこにはあるんだと感じました。
スペイン語で船という意味の言葉から船団をイメージして名付けられた社名「バルコス」
山本社長と個性豊かな仲間たちはこれからも世界に快進撃を続けていくはずです。