東日本大震災によって大きな被害を受けた宮城県気仙沼市。大手メーカーのジーンズの縫製等を主な事業とするオイカワデニムも、倉庫にあった約5000本のジーンズが津波によって流されてしまいました。
しかし、ガレキの中から約40本のジーンズがほころびもなく見つかり、それは誰言うとなく「奇跡のジーンズ」と呼ばれました。かつてはあのリーバイスの縫製も行い、オリジナルブランドのデザイン性の高さと頑丈さでも日本のみならず世界的に知られたオイカワデニム。不可能とさえ言われた麻糸での縫製を実現させた海辺の小さな工場の技術力が、「奇跡のジーンズ」によって改めて証明されました。
そして震災後は画期的な新商品の開発に取り組みます。それは震災直後工場を避難所として開放し、生活を共にした漁師達との日々からヒントを得たものでした。「気仙沼が水揚げ日本一のメカジキでジーンズを作ろう」 角のように見えるメカジキの上アゴは船上で切り落とされ捨てられてしまいます。
オイカワデニムの及川洋さんは、資源の有効活用や命がけでメカジキと格闘する漁師の姿に思いを馳せ、世界でも初めてのジーンズ作りに没頭します。魚臭さはないのか?オイカワデニムの強みである頑丈さは薄れないのか?海からの贈り物であるメカジキをデザインにどう生かすのか?数々の苦労を乗り越えた先には、ふたたびの奇跡の物語が・・・。
編集後記
ディレクター:髙岡 晃広(東北放送)
東日本大震災で壊滅的な被害のあった宮城県気仙沼市。
オイカワデニムの工場は高台にあったため被害は少なかったのですが、及川社長の自宅や製品倉庫は流されて無くなってしまいました。
しかし、そこから得たものがあったと言います。
オイカワデニムは工場を民間の避難所として開放しました。そこでは地域の人々と新たな交流がたくさん生まれました。
その中でも、特に漁師達との交流から生まれたのが今回のメカジキジーンズです。
及川秀子社長はメカジキジーンズの完成後、「海からの贈り物だね」と語りました。
取材で出会った人達もこんなことを言っています。「物的資産はなくなったが、人との絆という財産が生まれた」、「自分たちは海からの贈り物で生かされている」と。避難所での共同生活をきっかけに生まれたのはメカジキジーンズだけではありません。漁師達は共同で漁業を行う団体を立ち上げ、海からの恵みを地域が一丸となって享受しようとしています。
オイカワデニムのある気仙沼市本吉町は震災前から過疎が叫ばれていた小さな町です。本吉町の人々は震災をきっかけに新しい価値を創造しようとしています。メカジキジーンズは、そのシンボル。三陸の小さな町が再び輝くための「奇跡のジーンズ」なのです。
番組情報
◆有限会社 オイカワデニム
【住 所】〒988-0325 宮城県気仙沼市本吉町蔵内83-1
【電 話】0226-42-3911
【FAX】0226-42-3912
【メールアドレス】o-denim@world.ocn.ne.jp