広島県北部にある北広島町芸北(げいほく)地域は人口わずか2000人足らずの過疎と高齢化が進む町です。その山里にあるカフェが物語の舞台です。
カフェの名前を「芸北ぞうさんカフェ」といいます。
カフェのオーナーは植田紘栄志(ひさし)さん44歳。会社勤務などを経て2001年、スリランカでゾウの糞を原料にした再生紙を作り、日本の動物園などで販売する事業を東京で始めました。
人間とゾウの共存を目指すユニークな事業も軌道に乗り、新しい事業を模索していた時に東日本大震災を経験します。
震災後、一極集中の都市部の脆弱さに気づき、食べ物もエネルギーも自らの手で作ることの出来る生活をしようと決意。母親の実家があった芸北地域に東京から家族4人で移住しました。
カフェのキャッチフレーズは「冒険カフェ」。何にでもチャンレジしたいという思いが込められています。このカフェをオープンさせたことで、「これまでにない新しいことにチャンレジしたい!」と都市部から個性的な若い人たちが移住してくるようになりました。カフェではコンサートや演劇鑑賞などのイベントも頻繁に開催し、小さな山里に毎回多くの人たちが集まってきます。
このカフェのもうひとつの事業が「農業」です。
農産物を作るだけでなく、農業体験イベントも開きます。そんな取り組みは地元の農家にも刺激を与え始めています。特産のりんごを栽培する農家は、加工品づくりにチャレンジし新しい商品を完成させました。「田舎だからこそできるチャレンジがある」という主人公とカフェに集まってくる人たちの姿を紹介します。
								
					編集後記
					ディレクター:和田 浩司 (㈱RCCフロンティア)
東京で起業し、アジアとのビジネスを軌道に乗せた主人公が新たなビジネスを展開させる地に選んだのは「田舎」でした。
「ビジネスを考えると東京が有利ですよね?」という問いに「都会は一見、なんでもあるように見えますが自分の力で手にしたものではなくてお金の力なんです。その点、田舎はその気になればお金がなくてもなんでも自分の力で手にすることができる。それがビジネスにもなるんです」というコメントに最初は正直、戸惑いもありました。農村には人々が集える場所が必要とカフェを開き、食料を自給する為に農地を借りて米を作り、荒れた山を借りて椎茸を作る。さらには農作業をイベント化し都市部の人たちを田舎に呼び込み、収穫した農作物で保存食を作り将来は宇宙食にも活用する。アイデアを形にするためにチャレンジして行く姿勢に地域の人たちも刺激を受けています。インタビューしたベテラン農家が「夢を語る人はたくさんいるけれど植田さんは自分でやるからね」という言葉がすべてを物語っています。
取材を終えて2週間後にカフェに顔を出すと「ゲストハウスの準備始めているんです。しかもベッドの代わりにハンモックです!ハンモックゲストハウス!これイケますよ!」。夢は口にした途端、目標に変わるものなのか。そんな思いにさせられます。
 
				 
				
								
					番組情報
					◆芸北ぞうさんカフェ
【住 所】広島県山県郡北広島町荒神原201
【電 話】0826−35−1324
◆岩本農園(りんご園)
【住 所】広島県山県郡北広島町荒神原204
【電 話】0826−35−1072