
静岡県沼津市は全国有数の漁業の街として栄えました。かつて駅前には百貨店が並び、商店街も多くの人で溢れていました。
しかし人口は年々減り続け、産業も衰退。そんな沼津に元気を取り戻すため生まれたのが、ご当地アイドル「オレンジポート」です。
4年前の公開オーディションで選ばれたのは地元で生まれ育った11歳から18歳までの少女たちでした。沼津に多くの人を呼び込むため、彼女たちは年間数百回におよぶステージに挑みます。
オレンジポートの「本気」に大人も共感し始めます。沼津市は彼女たちを「ぬまづ国際親善アイドル大使」に任命、地元企業は市内にオレンジポート仕様のラッピングバスを走らせ、商店街の住民も「まちおこし」の起爆剤になってほしいと応援するようになりました。

オレンジポートはご当地アイドルの代表として、フランス「ジャパンエキスポ」の出演が決まります。日本文化の祭典として知られ、4日間で20万人以上を動員する世界最大級のフェスティバルです。
沼津に恩返しがしたいと願うメンバーたち。
世界に「沼津」を売り込み、インバウンドに繋げることはできるのか?
アイドルを夢見る少女たちが巻き起こした、現代ならではの地域活性化を描きます。
編集後記
ディレクター:村田哲久(SBSメディアビジョン)
最初に画を繋いだとき、プロデューサーから「オレンジポートの活動が見たいのではなく、活動している彼女たちの生き方が見たい」と言われました。今考えると、その瞬間が大きな分岐点でした。
追加取材でメンバーの日常を取材すると、彼女たちのホームグラウンドである「沼津」が見えてきました。それぞれ背景は違うものの、沼津で生活する彼女たちは地元の応援を肌で感じ、恩返しをしたいという共通の想いがありました。さらにインバウンドに驚く住民や行政の生の声を聞くことで、初めてオレンジポートが起こしたことの実態を知ることができた気がします。リーダーの樹里さんは「オレンジポートをやってなかったら、沼津のことって見えてなかった」と語ります。その言葉を借りると、「沼津を取材してなかったら、オレンジポートのことって見えてなかった」。
オレンジポートと沼津の盛り上がりに、これからも注目していきたいと思います。