
涙の形をした甘いトマト・スウィーティア。
土佐のソウルフード「カツオの塩たたき」に合う高知県産の赤ワイン。
両方ともつくっているのは高知県南国市の石灰メーカーである。
石灰石に真摯に向き合い、石灰のポテンシャルを開拓してきた老舗メーカーが
なぜ農業事業に踏み出したのか?

決してブドウ栽培向きでない南国・土佐でどうしてワインづくりに挑戦するのか?
そしておらんくワイン(おらんく=土佐弁で自分の家)はできるのか?
石灰メーカーの挑戦に密着する。
編集後記
ディレクター:苅田 将彦(高知放送)
博打好きな県民性故に南国・土佐の企業がワインづくりに挑戦とは、何と無謀なことを・社長の道楽かというのがファーストインプレッション。しかし実際は石灰の質へのこだわりから大量生産できない伝統製法を続けるとても真面目な会社です。また、石灰のポテンシャルを切り開いていくという開拓者精神が創業から1世紀あまりたった今も脈々と受け継がれています。農業事業に踏み出したのもその開拓者精神あってのこと。また製造する果物用の殺菌剤のノウハウを裏付けとしていてギャンブルでなく勝算あってのことなんです。
涙型の甘いトマトは東京で人気があると聞いてはいましたが、実際に京王百貨店を取材した時に試食した人たちが決して安くはないトマトを値段も見ないで買い物カゴに入れるシーンにビックリさせられました。加熱しても崩れないことからおでんや日本料理のおすましにも入れられるそうです。お目にかかってみたいものです。
決してブドウ栽培向きとは言えない南国・土佐で2年目からワインが醸造できるほど収穫できたのは、山ブドウを掛け合わせる品種改良があってのこと。先月開かれた「おらんくワイン・TOSA」お披露目会。会場は驚きと喜びでちょっとした興奮状態でした。国際ソムリエ協会の田崎真也会長によりますとカツオの赤身、特に血合いの部分と赤ワインの相性は抜群で、これから苗木が成熟していくとどんどん土地柄が色濃くワインの味に現れるとのとこと。「おらんくワイン・TOSA」がどのような進化を遂げるのか、これからも見守っていくつもりです。