#88 ラップで廃校阻止!北星余市高・生徒会長の激闘486日 後編

2017年5月7日(日)(テレビ朝日 放送) 北海道放送制作  協力 文部科学省/独立行政法人 中小企業基盤整備機構

廃校が取り沙汰されている北海道の北星(ほくせい)余市(よいち)高校に、去年春60人が入学しました。その多くは、生徒会長「ビアン」こと小林毘鞍(びあん)さんのラップで北星余市の存在を知りました。学校の存続を訴えたビアンのラップはカラオケになるほどの反響を呼び、自分たちで撮影したラップのプロモーション映像も制作プロダクションの協会が主催するコンテストで最優秀賞を獲得しました。

しかし秋、学園祭の準備に励む生徒会の中にビアンの姿はありませんでした。

chikara88-2.jpg
夏休み中に仲間と酒を飲んだことが発覚し、謹慎処分を受けたのです。一年で最大の学校行事に参加できなかった悔しさ…ビアンは生徒会顧問の先生に思いをぶつけますが、返って来た言葉は「ビアンは自分の感覚が正しいと思ってる。他の人の意見を聞き入れない」。10人の生徒会メンバーからも厳しい言葉を浴びたビアンは…。「自分を否定してくれるヤツらで良かった…」。

chikara88-1jpg.jpg
3月の卒業式、仲間と学校への感謝を込め、ビアンは高校生活最後のラップを熱唱します…。

4月、北星余市高校は、学園理事会が存続の絶対条件とした70人を上回る、73人の新入生を迎えました。

編集後記

ディレクター:河野 啓(HBCフレックス)

北星余市高校の存続を訴えたビアン(小林毘鞍さん)のラップ「始まりは0(ゼロ)」は反響を呼び、通信カラオケ大手「ジョイ・サウンド」から楽曲の提供を求められました(皆様、よろしければ歌ってください。収益は学校に寄付されます)。カラオケのバックに流れるのは、自分達で撮影編集したラップのプロモーションビデオ。この映像は、制作プロダクションの協会が主催するコンテスト全国審査で、優秀賞を獲得しました。

いわば「学校の救世主」となったビアンが、酒を飲んで謹慎処分を受けたと聞いて、私は仰天しました。ちょうど学園祭の時期で、ビアンは母親と祖母を学校に招待しようとアルバイトで貯めた金で航空券を買っていました。しかしラップを歌うはずだったステージには立てません…。切なくて涙が出ました。

学園祭の前後、生徒会の中では実に中身の濃い話し合いが行われていました。「ビアンの飲酒はビアンだけの問題なのか?」生徒会の誰かが悪事に手を染めようとしたとき「いや、あいつらを裏切れない」と他のメンバーの顔が脳裏に浮かぶような存在だったか?…顧問の先生はメンバー同士の信頼について問いかけ、夜遅くまで、何日も議論が繰り返されました。ビアンのラップの一節ですが「こんな学校は他にない」と思いました。

この激論を編集していた今年3月、森友学園の問題が取沙汰されていました。親密な関係だったことが強く推認されるのに、風向きが悪くなると「知らない」「迷惑している」と相手に罪をなすりつけ、責任を回避しようとする国政、府政のリーダーたち。彼らに「ビアンに注意できなかった自分たちにも責任がある」と省みた生徒たちの清廉さが欠片でもあれば…と情けなく思いました。

悩み苦しんでいたにもかかわらず、制作者を信頼してありのままを取材させてくれたビアンはじめ生徒たちに感謝しています。

番組情報

◆北星学園余市高等学校
【住 所】〒046-0003 北海道余市郡余市町黒川町19丁目2-1
【電 話】0135-23-2165
検索⇒北星余市

ご意見・ご感想

皆さまからのご意見・ご感想をお待ちしております。
お寄せいただいたコメントにはすべて目を通しておりますが、必ずしも掲載されるものではございませんのでご了承ください。
なお、企画提案、商品宣伝、イベント告知等に関する投稿は固くお断り申し上げます。

※ 記入欄に、お住まい(都道府県)もご記入いただければ幸いです(任意)