
愛知県の小さな会社が、画期的な技術を取り入れた新しい宇宙船の開発を進めている。数年後の実用化を目指し、将来的には数十万円程度の旅費で宇宙旅行ができるようになるという。
少年のころから飛行機が好きだったという社長の下では、別の会社に勤める技術者らが、ボランティアで開発を手伝う。単なる夢物語と思われがちだった彼らの取り組みに、最近になって大手旅行会社や航空会社などがスポンサーとして名乗りを上げ始めた。

飽くなき「空への憧れ」を一歩一歩形にする、少年のような大人たちの物語です。
編集後記
ディレクター:堀 雅司(ライフワークス)
宇宙旅行など夢のまた夢、と思っていたものの、意外とそうではありません。今、世界中で様々な企業が民間宇宙旅行の実現を目指して鎬を削っています。まだ予定ですが、一番早いのがアメリカ企業で2018年、つまり来年の商業運航を目指しています。
今回取材させていただいたPDエアロスペースは、2023年の実現を目標に、今機体開発の真っ最中です。社長の緒川修二さんは、夢を実現するためには人生のすべてをかけるという熱意の塊のような人です。現在この会社は、一銭もお金を生み出していません。宇宙旅行が実現してはじめて事業が成り立つからです。運営資金は、すべて事業を理解してくれる企業からの協賛金だけです。潤沢な資金があれば、人もモノも集まります。しかし緒川さんは、限られた予算の中で、機体・エンジンから実験装置、果ては事務所の家具まですべて手作りで、技術者の多くがボランティアスタッフという手法で事業を進めています。
かれこれ10年近く取材してきましたが、常に猛スピードで事業を前に進め続ける姿には毎回驚きます。それこそ緒川さんの求心力とリーダーシップがあってこそなのだと思います。やると言ったら最後まであきらめない姿勢、温かい人柄。だからこそ多くに人たちがついてくるのだと思います。今回は挑戦し続ける中小企業の姿を見ていただければ幸甚です。