#128 石は心で彫る!~三河石工の"あととり娘"~

2018年4月28日(土)(テレビ朝日 放送) 名古屋テレビ(メ~テレ)制作  協力 文部科学省/独立行政法人 中小企業基盤整備機構

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愛知県岡崎市は加工に適した石材、花崗岩(御影石)が採れる日本でも有数の「石の産地」で、街には石材店が軒を連ねています。その一角にある上新石材店に全国でも珍しい女性の石職人、上野梓さん(36)がいます。
梓さんは3人姉妹の末っ子として生まれ、幼いころは「父親の跡を継がなければ」という強い思いから、自分の事を「僕」と呼び、男の子になろうとしていました。「石職人は男性の仕事というのが常識」といわれていたからです。

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高校を卒業すると、父・房男さん(68)に弟子入りしました。師匠となった父は、梓さんを本物の石職人に育てるため、徹底的に基本を叩き込みました。父の期待に応えるべく、梓さんは、ずしりと重い道具を握りノミを打ち続けました。修業は厳しく、マメの中にマメができたり、指が固まって動かなくなってしまったりしたことさえありました。

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厳しい修業に耐え、全国の職人が技を競う大会で3位に入賞。女性でも石職人としてやっていけるかもしれないと自覚した途端、梓さんは「僕」としか呼べなかった自分のことを初めて「わたし」と呼べるようになりました。

石材加工業界は、主製品である石灯籠や墓石などの需要が低迷しています。梓さんは石が持つ固いイメージを変えたいと、受け継がれた職人技を「新しい形」にして伝える作品づくりに取り組んでいます。

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その一つが「メモリアルペット」。死んでしまったペットを模写した石像です。まるで、”命”を吹き込まれたかのような石像に依頼した人たちは涙を浮かべます。
石に親しんでもらうための梓さんの挑戦。従来の形にとらわれず、石で人を感動させられる作品を作り続けたいと話す梓さん。ひたむきに石と向き合う、女性の職人の物語です。

編集後記

ディレクター:奥村一輝(ピックアップ)

 男性ばかりの石職人の世界に飛び込んだ、女性職人の物語です。
今回の主人公、上野梓さん(36)は、石材店を一代で築いた、師匠であり父の房男さん(68)の跡取りです。3人姉妹の末っ子なのに、どうして家業を継ごうと思ったのか。厳しい職人の世界で生きていくと決めた梓さんの、石と真摯に向き合う姿は、番組の一番の見どころです。

舞台である愛知県岡崎市の石材産業がどんどん下火になっていく中で、梓さんからは、そういった状況を自分のチカラで変えたいという気概が伝わってきます。「石で人を感動させたい」と、石を形づくっていく時の表情に、ぜひ注目してください。

ただ単に“出来栄えの良い作品”をつくるのではなく、石一つ一つに、“魂”を入れるかのような、ひた向きな姿がタイトルの「石は心で彫る!」に通じています。画面を通して、そうした職人の思いを、番組を観てくださった方にお伝えしたくて制作した番組です。

番組情報

◆上新石材店(うえしん せきざいてん)
【住 所】愛知県岡崎市小呂町新志1の1
【電 話】0564-24-0434

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