#129 廃校危機なら俺が行く! 助っ人は"三味線"高校生

2018年5月5日(土)(テレビ朝日 放送) 北海道放送制作  協力 文部科学省/独立行政法人 中小企業基盤整備機構

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北星余市高校が廃校の危機…2015年12月に流れたニュースを見て、井上強嗣さん(当時17歳)は「ここでやり直そう!」と決意しました。そのころの強嗣さんは音楽の特待生として入った高校で教師と衝突し、退学を考えていた時期でした。金髪にリーゼント、鋼のような肉体に古風なスーツをまとった強嗣さんは、その風貌からは想像ができない特技を持っていました。三味線と民謡です。北星余市での初演奏では「ギャップがすごい!」と全校生徒を驚愕させました。

母親の恵子さんは、かつて日本記録を樹立したスピードスケートの名選手。強嗣さんを女手一つで育ててきました。多いときは仕事を5つ掛け持ちして、三味線の稽古に励む強嗣さんを支えました。「いい相棒」だった1人息子は、中学生になると別人のように変わってしまいます。学校をさぼって仲間の家に入り浸るようになり、注意する恵子さんと親子ゲンカを繰り広げることも…。それでも惠子さんは「昼も夜も働いて幼い強嗣に寂しい思いをさせた反動だ」と自分を責めました。

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強嗣さんの「第2の高校生活」は、激動の毎日でした。フランスのバンドと三味線でコラボし、学校で起きたイジメ問題に向き合い、恵子さんの結婚で父親ができた上にそれまで想像もしなかった意外な「進路」が開けてきて…。

 

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「親父、おふくろ、ありがとう!」卒業証書を受け取った強嗣さんは壇上からそう叫びました。「この高校がなかったらボクは立ち直れなかった。存続してほしい」。三味線”転入生”の2年と2か月にわたる奮闘を追いました。

編集後記

ディレクター:河野 啓(HBCフレックス)

リーゼントで時に金髪、長身でマッチョ、独特のファッション…2年前初めて会ったときから既に、井上強嗣さんには一時代を築いた銀幕スターの貫禄がありました。
「え!17歳?」その風貌にもビックリでしたが、三味線の演奏には更に驚かされました。「ギャップがすごい!」北星余市高校に転入して初めての演奏会で、たくさんの生徒たちが口を揃えました。

ルックスとは裏腹に、インタビューで語る言葉はきちんとした敬語で内容も真面目…実を言うと私はそこにずっと物足りなさと言うか、彼の「心の鎧」を感じていました。しかし去年の秋ごろ、母親の惠子さんと頻繁に連絡を取るようになってから、強嗣さんのことが、可愛く、いじらしく、思えるようになりました。惠子さんがスナックでの仕事を終えて深夜に帰宅すると枕がビショビショに濡れていたこと、祭りに行くと「おままごとセット」をねだったこと、キリギリスを飼うことになって「家族が増えた」と大喜びしたこと、そのキリギリスが死んで泣きながら墓を作ったこと、惠子さんが結婚すると知って不機嫌になったこと…。「お母さんがこんなこと話してたけど…そのこと詳しく聞いていい?」とインタビューを繰り返すうち、彼が語る言葉に真情が感じられるようになりました。

毎年毎年、北星余市には、独特の感性や特技を持った生徒がやってきます。きっとそんな生徒たちを惹きつける引力が、この学校にはあるのです。三味線の達人の次は、どんな生徒に会えるのか? 何はともあれ存続してもらわないと…私も困ります。

番組情報

◆北星学園余市高校
【住 所】〒046-0003 北海道余市郡余市町黒川町19丁目2-1
【電 話】0135-23-2165
【H P】検索⇒北星余市

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