
見学者が全国から訪れる鉄工所が、北海道北広島市にある。「ワールド山内」だ。
最新鋭のロボットを備えた24時間体制の工場。そして独自に開発した製品の管理ソフト。「北海道にこんな会社があったとは…」斬新な取り組みに一流メーカーの会長も舌をまく。世界を唸らせる技術力を持ちながら、ワールド山内は北海道を拠点とし続けている。

「北海道そのものが会社のセールスポイントですから」と2代目社長、山内雄矢さん(41)は笑顔で語る。「四季折々の食と観光の魅力がお客様に感動を与える。さらに私たちの製品で感動してもらう。また北海道に来たい、またこの会社に注文したい、という流れを作っているんです」
仕事はいたって順調だが、山内家には大きな心配事もあった。雄矢さんの母親、敏子さんがおととし白血病を患ったのだ。
そして去年、思わぬ災害が北海道を襲う…
自慢のロボットも動きを止めた…。
先進的かつ地域に根ざした「モノ作り」で、北海道からワールドを見すえる熱血社長の、激動の日々を追った。
編集後記
ディレクター:河野 啓(HBCフレックス)
当初、「ロボット化を推し進めている鉄工所」と聞いて、「労働者をないがしろにしている会社ではないか?」と疑念を持ちましたが、従業員は、金髪のロッカー風がいたり、黙々と働きながらも輝きを放つ美女がいたりと、楽しげな工場でした。
会社名からしてギャグです。山内さんが経営する「ワールド山内」。自分の名前に「世界」を冠したのは、お笑いタレント「世界のナベアツ」さんぐらいではないでしょうか?主人公の2代目社長は、学生時代、ジェットスキーの全日本チャンピオン。よく笑い、よくしゃべります(時にうっとうしいぐらい。笑)。
でも仕事はちゃんとしているようで、彼が中心になって開発した製品の管理ソフトには、訪問者の誰もが舌をまきます。ただ、複雑なシステムの話です。視聴者にわかりやすく面白く伝えるために、どこにフォーカスを合わせるか、編集作業は少々骨が折れました。
日本の会社のみならず、中国の世界的な鉄鋼メーカーも視察に訪れましたが、小さな会社の2代目社長はまったく臆せず、時にジョークを交えて、応対を楽しんでいました。夜はお決まりの「すすきの」での接待です。カニやらスシやら出てきます。技術力があるのは当たり前ですが、「北海道の食と観光」を武器に得意先を増やしているのだ、と聞いて、なるほど、と納得でした。
今年は何やら大きなプロジェクトも入るそうで、近い将来「ワールド」の名にふさわしい会社に化けるかもしれません。