#172 週末チェーンソー ~クルマのまち 豊田で里山を救う~

2019年5月11日(土)(テレビ朝日 放送) メ~テレ制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ

愛知県豊田市は、自動車産業を中心に、製造業が盛んです。中心街から少し離れるとすぐに田園風景が広がり、森林は市の面積の約7割に及びます。

この森林地帯にある、スギやヒノキの人工林では、週末になるとあちらこちらからチェーンソーの音が響き渡ります。休日だというのに、伐倒作業に勤しんでいるのは、間伐ボランティアたち。豊田市内の森で17チームが活動しています。

 

 4年前に結成された「とよた旭七森会(あさひ ななもりかい)」の代表を務める、袋 真司(ふくろ しんじ)さん(46)は、山の所有者の依頼を受けて、1チーム約20人で、間伐を行っています。メンバーには、人とのつながりが会社関係者しかなく、「今後の人間関係作り」を目的に参加したという60代の男性がいたり、「いい汗をかけるし、木を切った時に森に光が差し込む瞬間がいい」という40代の主婦がいたりと、職業も年齢も様々です。

 

 袋さんは、自動車メーカーに勤務するサラリーマン。チェーンソーで木を切ることは、「森に入り、遊ばせてもらう大切な時間」だと話します。
過疎化の進む、山間部の人々から見れば、間伐の経験や技術を持つ世代が少なくなっている昨今、間伐ボランティアはプロのように効率よく作業できるとは限りませんが、費用が掛からず、仕事が丁寧と評判になり、頼もしい存在になっています。

 

ボランティアにすがってばかりもいられない」と地域も立ち上がりました。放置され続けてきた間伐材を、地域の人たちの力で販売するルートを開拓。しかし、かつて「木材1本で1人1日分の人件費を賄えた」という時代から比べれば、いまやその価値は10分の1とも言われています。わずかな収入でも、なんとか山仕事に誇りを取り戻すことが出来ないだろうか…。そこで考え出されたのが、「モリ券」と呼ばれる地域通貨です。

 

 間伐材の費用はすべてこの「モリ券」で支給されるようになったのです。「モリ券」の登場で、山仕事のみならず、地域の商店にも効果が表れるようになってきました。「モリ券」を始めたのは、市内の旭地区。飲食店や旅館、自動車の車検費用にも利用できます。旭地区にある40の商店で、現金のかわりに利用が出来る「モリ券」は、使う側に「山仕事の対価」という誇りを抱かせ、地域の店では売上に繋がります。さらに、すっかり廃れたと思われてきた山仕事を地域の誰もが身近に感じる効果も。山が元気になれば、地域も元気になる…
街の間伐ボランティアの参加により、過疎の中山間部が元気になるのです。

 

そして「とよた旭七森会」の袋さんたちメンバーも、チェーンソーの間伐を通して、地域や山とより深いつきあいを求めるようになっていきます。

編集後記

ディレクター:川村真司(メ~テレ)

撮影現場のほとんどが、山の中での間伐作業。チェーンソーの甲高いエンジン音、切り倒された樹木が地面に横たわる鈍い衝撃。そして、倒れた後に降りしきる、細かな葉の舞が光でキラキラと輝く光景を目にしました。やがて、間伐された木は、出荷するサイズに山の中で切り分けられ、「材出し」と言って、山から順繰りに降ろされていきます。この段階に入ると、チェーンソーの音の代わりに、木同士がぶつかった時の「コンッ!」という、心地よい音が森に響きます。この「材出し」に使われる道具が、「鳶(トビ)」です。棒の先に木をひっかけるための尖った金物がついている、いたって単純な構造。しかし、巧みに操るには技を必要とします。「地元の人は、力をいれずにひょいひょいとやるけど、それがなかなか」と汗だくになって作業をする、現役サラリーマンや主婦。私もちょっとトビを借りて木をひっかけて、引き下ろそうとしたのですが、力任せにやると、トビが木に食い込んで抜けず、自分の身体も木と一緒に持っていかれそうになってしまいました。これだけの重労働をおこなうためには、何かコツがあるのでしょう。それを見様見真似で挑戦する光景はまさに「おとなの山遊び」なのだと思いました。

番組情報

◆木の駅プロジェクト(豊田市役所 地域振興部旭支所)
【電 話】0565-68-2211

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