#176 よみがえる思いと音色 ~楽器修理人が歩む昭和・平成・令和~

2019年6月8日(土)(テレビ朝日 放送) 北陸放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ


管楽器修理技術者・大久保雅春さん55歳。石川県小松市の白山連峰を望む田園地帯に修理工房があります。大きくへこんだ金管をもとに戻し、なくなった部品は、真鍮や特殊な木を削って作るなど、30年の修理経験で楽器を直しています。

大久保さんは楽器修理の仕事に加え学校の吹奏楽部や消防音楽隊を指導し、自らサックス奏者として演奏もするという3足のわらじをはきながら音楽への情熱をいだきつづけています。


番組では、若い女性から修理を依頼された昭和の古いトランペットにスポットを当てます。
このトランペットは60年前の日本製ですが、もうメーカーも存在せず、部品もありません。しかし特別な思いが込められた品であり、大久保さんは色がくすみ、部品が欠けたトランペットの修復にとりかかります。

今は音楽ひと筋の大久保さんですが、子どもの頃は苦手だった音楽。
楽器との出会いや若い頃の職業などには、意外なことばかり。
苦労の青春時代を過ごした昭和。工房開設でひたすら楽器と向き合ってきた平成。そして60年の時を経てトランペットの輝きと音色がよみがえった令和―。大久保さんが歩んだ3つの時代を見つめます。

編集後記

ディレクター:片桐真佐紀(グラフィス)

今回の取材・制作に取り組んだ二人のディレクターのうちの一人が、かつて音楽活動をやっていました。2012年に管楽器修理技術者の大久保雅春さんを訪ねた時のこと。時間の有余がない修理依頼に懸命に応えようとしている姿に感動して取材しようと思ったのがきっかけでした。取材を繰り返す中で、「持ち込まれる楽器にもエピソードがないか・・」と思っていた矢先、若い女性が勤務先の社長から譲り受けたという古いトランペットが持ち込まれました。大久保さんは「修理に費用をかけるより新品を買った方が安い」と当初、修理しないことをすすめます。しかし女性があまりにも熱心に依頼するので、その希望に応えることを決断。その様子を取材するうちに、修理人の技のすごさだけではなく、その陰に感じる大久保さんの心にひかれ、この番組を企画しました。

主人公の大久保さんは、実に明るく前向きな性格であることから、実際は山あり谷ありの半生だったことを描くのに苦労しました。人物にスポットを当てる場合、その人の弱点や変わり者の部分も見たいものですが、大久保さんの映像には、「いい人」が前面に出ています。ご覧いただく方には、登場する人々の温かい関係にも「日本のチカラ」の原点があることを感じていただければ光栄です。

番組情報

◆㈱音楽工房ウインドジャム
【facebook】https://ja-jp.facebook.com/musiclabwindjam/

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