#184 年中無休!走る本屋さん ~子どもたちに笑顔を!~

2019年8月17日(土)(テレビ朝日 放送) 静岡放送制作 協力/文部科学省 総務省 中小機構 JAグループ


インターネットやSNSの普及により激減する全国の書店。静岡県にも書店のない自治体が5つもあります。町の本屋さんは姿を消しつつあります。
静岡県掛川市で書店員を勤める高木久直さん(48)

「本のためならなんでもやる!」高木さんは、本職の書店員の傍ら、休日限定で「走る本屋さん」を3年前に始めました。軽バンいっぱいに新刊を積み込み、書店のない地域を中心にめぐる「走る本屋さん」は、子ども向けの本はもちろん、大人も楽しめる文庫もそろえる充実のラインナップ。収納はおよそ500冊、髙木さん自らが選書、仕入れています。行く先々でお客さんと直接話し、時に子どもに読み聞かせをせがまれ、走る本屋さんは多くの人と本をつなげています。


ただ、走る本屋さんはとてもリスキーな商売。ガソリン代など経費を考えると、ほとんど赤字。それだけに、売れた時の喜びはひとしお・・・。
静岡県御前崎市での出店で売れた本はたった1冊。千円札を握りしめた小学生が、書店と自宅を何度も行き来しながら、「かわいそうな象」という本を買ってくれました。本屋だからこその出会いでした。
また、掛川市の里山での出店では、小学校6年の少年が太宰治の「人間失格」を買ってくれました。「題名が気になった」読める読めないではなく、そのとき、その瞬間手にとったことが出会い。髙木さんは嬉しそうに話しをしてくれました。


高木さんの活動を支えるのは家族。本が大好きな息子2人と、そっと寄り添う奥さんがいてこその「走る本屋さん」です。長男、久輝くん(7)の夢は「本屋さん」。2代目走る本屋さん誕生はそう遠い話ではないかもしれません。
高木さんは最近、古物商の免許も取得し、自宅の庭先で無人の古本スタンドを始めました。書店空白地域でも本を手に取る環境を作ることが目標です。
本をこよなく愛する高木さん。書店員の垣根を超えた活動と、出会う子供たちとのあたたかな物語です。

編集後記

ディレクター:佐藤美月(静岡放送)

本業も副業も本屋さん。
主人公の高木さんの静かで確かな情熱に惹かれました。
「あすの見えない業界だよ」そう言いながらも、高木さんは本のためにできることを全力でやり続けます。

本屋さんに行ったとき感じる、刷りたての紙のにおい。独特で、どこかほっとする空間。当たり前にあってほしいと願うその理由を知りたくて、取材を進めました。本屋さんには、本との出会いはもちろん、本を通して人と出会うことができる「人とのふれあい」がありました。

休日限定の「走る本屋さん」。多くの書籍の中から高木さんが選びぬいた500冊。「おすすめの理由は?」高木さんに語ってもらうと、もう、止まりません!大切にされた本が子どもたちに届く瞬間は、まさに奇跡でした。

いま、アメリカでは人々が「デジタル疲れ」をおこし、アナログ文化を見直す動きがあるようです。本のチカラを信じ、走り続ける高木さんに、リアル書店の可能性を感じました。

番組情報

◆戸田書店 掛川西郷店
【住 所】静岡県掛川市上西郷508-1
【電 話】0537-62-6777
【Twitter】@toda_saigo

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